2007年12月22日土曜日

ヒトリ、オンネトー

仕事でひとりオンネトーへ

オンネトーに隣接する小山に登る。
アカエゾマツ森の向こうに見える雌阿寒岳と阿寒富士が美しい。

頂上には、表面霜が・・・

表面は、ガラスの破片みたいなものが
キラキラ散らばっている。

これは大変めずらしい。
一冬に一回見られるかどうか。
以前、雪崩講習会でそう習ったのだけれども
雪崩の科学的根拠である「弱層」を作る元凶でもあり。

「雪は天からのお手紙」
と誰かが言ったか、言わないか。

今冬は妙に雪崩関係がおおいな。

氷結しているオンネトーに降りてみる

湖上の足跡は動物だけだったので人間一号に。



その後、摩周湖外輪へ。午後3時の風景









夕日のシーンは、飛べなくて辛かった
12月のアラスカを思い出してしまった。
冬の道東は、どこかアラスカに似ている。
今ごろ、みんなどうしているのだろう・・



降りて屈斜路湖の温泉、川湯へ。

キラキラが、名物足湯を素敵な空間にしていた。
ああ、もうクリスマス。
空のブルーが強烈
(このカメラ、暗さにホント強い、手持ち撮影なのに)

観光客の少ないさびれた温泉街も、ちょっと輝いているね。


1人で感じる道東は、-19℃の寒さもあいまって
強烈にアラスカへの郷愁を感じた。

でも、そんな寂しさも悪くないよ。

みんな、今ごろしあわせかな・・

2007年12月11日火曜日

テレマークスキーのススメ

倶知安の
あいかわらず深々と降る雪のなか
裏山へ初滑りにいってきました。

家は街中
商店街をテレマークスキーで
ひょっこらと歩く姿は、
スキーの街、倶知安でも少し浮いた感じ。
だってスキーが「八甲田」ですから。



10分で裏山のふもとに到着。
その後、もりのなかへ分け入って
どんどん頂上を目指す。
スネぐらいまでの新雪ラッセルを約1時間。
ヤッケの内側から熱気がでてきた
冬山でしっとり汗をかくのはきもちいい。

振り向くと太陽が木立の向こうから顔を出していた。



頂上から倶知安の町並みを見下ろし
スキーのシールを外す。
待望の今年初滑り。
森に積もったパウダースノーが
テレマークの板を持ち上げて快楽の浮遊感を作る。

近代テレマークスキーというのはちょっと不思議な乗り物。
もともと踵がフリーなクロスカントリースキーを
滑走用にしてみようと、コロラドの面白いアメリカ人が
70年代にリバイバルしたもの。
はっきりいって前後、上下ともに不安定な最悪の乗り物だ。
さすがアメリカ人。

だがその最悪の不安定さのなか
最高のパウダーに巡り合えたときに感じる浮遊感は、
たとえそれがアルペンスキーやボード
のスピード感に劣るとしても
不安定だからこそ感じるその満足度・・
それは新雪滑走という種の遊びの中で
格別なものだとおもうのです。

浮いているときの、もう何もいらない!という幸福感。
頂上で踵を固定しなくていい、という気持ちよさ。
でかいスキー場に意味を感じなくなるほど楽しめる裏山のちいさな幸福。
本当の幸せは、じつに身近なところにあるものです。
そう、一日数千円ものお金をリフト券に費やさなくても。

テレマークスキーは、自由の翼。
冬という無味乾燥な世界をガラリと
天国に変えてくれる魔法の板。
(だけど、俺は相変わらずめちゃくちゃヘタですが・・・裏山特訓!)

テレマーク はじめてみれば 泥沼化

意味が分かんない人ゴメン!

2007年12月8日土曜日

たった一台のカメラという機械がもたらすもの

帰国してから3ヶ月、執筆の毎日で
なかなか抜け出せず
気晴らしでカメラの話が多いですが
今回もそうです。
おもいっきりストレス解消、おつきあいを。

それにしても、今回の出版で
写真の選別をしているのですが
以前使っていたD200の性能の高さを再認識してしまいました。

操縦しながら、ハッとする風景を見たときに
カメラを構えるわけですが
そんな忙しい中、よくこのカメラ
しっかりと風景を切り撮ってくれたもんだなぁ・・と
ひとり写真の選別をしつつ感慨に浸っていました。
マイナス40℃の上空でもなんとか頑張っていたかわいいやつ。
「極北飛行」はD200の作品集でもあるのだなと。


アラスカの風景を水彩画のようなタッチで
切り撮ってくれたD200は絶対に下取りなど出せません。
これがカメラに対する愛情というものでしょうか?


そして期待のD3

北海道こってりみそラーメンの試写です

ISO1600


ISO3200


ISO6400


ISO12800


ISO25600


全部、同じの写真じゃないか?
いえ、そうではありません。
撮影時の感度を1600から25600まで段階的に変えています。
ISO6400までは、変化がよく分からず素晴らしいノイズ耐性。
12800から薄味?になるような変化がありますが
25600でも三丁目の夕日チックな雰囲気で嫌いじゃないです。
ISO25600でも明るい条件のいい場所であれば、
スナップ程度には使えそうです。
またそれが「味」だといえば納得の画質かも。

私は高速移動体(飛行機にのっているときの風景やスキーヤーなど)の手持ち撮影が多いのでこの性能は大歓迎。シャッタースピードが稼げるのは大きい。
なにより飛行安全にもつながる。機材自体は高いけれど・・

ニコンのD3高感度の記述を以下に抜粋します

この高感度撮影時の高画質は、これまでとらえようもなかった暗い被写体の撮影を可能にするだけでなく、それをどのようにとらえるかという表現の自由度までも拡げます。高いISO感度に設定して、スポーツやアクションシーンを平然と高速シャッタースピードで撮影する。そして、予想もしていなかったような高画質な画像を得る。そのとき、従来の画質の問題をクリアーしてしまったD3の高いISO感度で撮影した画像が、いかにすばらしいかを再認識していただけることでしょう。

その他、
フルサイズ9コマ/秒、DX11コマ/秒
防塵防滴、AF51点測距、広範囲なダイナミックレンジ
魅力的な14-24mm超広角防塵防滴ズームレンズ・・
風景を撮るときに14mmの広角はうれしい。
冬山やアラスカのスケール感をそのまま撮れるのではないかと。
本当に私にとって革命的なカメラです。

第二弾のアラスカ本や
北海道パウダースキー本からは
写真が変わっていることを願いたいものです。



しかし出版ってしんどいけれどすごく楽しいものです。
こうやって本にする以前、
さらに撮影の以前の段階から
あれこれ考えるのは、とてもエキサイティングだし自由を感じます。

では、執筆に戻ります。
しばし執筆からの逃避日記に
おつき合いありがとうございました。

撮影訓練




感動さめやらず、、
新型カメラの性能テストは
車の運転最中にもコツコツと続きます。
(性能テスト=オモチャいじり?もしくはカメラに操作されている?)

車の運転中に一眼レフカメラを操作するということは
道交法で禁止されているかどうか分かりませんが
これは飛行機を操縦しながら
アラスカの風景を撮影する訓練でもあるのです。
外を見ながらカメラのAFボタンやダイアルを操作する訓練。
いや・・実はコレ、楽しいので遊びなのですが。

この遊び(訓練!)は戦闘機操縦の感覚に似ています。
カメラのスイッチは右手10、左手13
戦闘機のスイッチは右手5、左手10ぐらい?
一眼レフのファインダーは戦闘機のHUD(Head Up Display)のよう。
(あのTop Gunに出てくる敵戦闘機をピーッと捉えるファミコンの画面みたいなやつです)

そんな事をしていると
写真のお仕事が舞い込んできました。

内容は、B2サイズの氷河の写真依頼で
心の琴線にふれるコピーとその写真で読者に環境問題意識を促し
新聞の折り込みに入れて啓蒙するというもの。

電話で「B2サイズってどんな大きさですか?」と
思わず聞いてしまいました。
新聞の見開きサイズだそうです。絶句!
大一番のお仕事になりそうです。

使用写真は、僕のアラスカの中で一番好きな写真の焚き火のやつです。
D3購入で、活気づいてきた?(だといいのだけれど)


写真上:Nikon D3 ISO6400 Nikkor 14-24mm F/2.8G ED 中山峠のトンネル
写真下:Nikon D200 ISO100 Tokina 12-24mm F/4 アラスカの氷河湖ほとり

カメラも新旧交代というところですが
以前使用していたD200は手放すつもりもなく
スーパーサブとして頑張ってもらいます。
アラスカで共に耐えてくれたカメラですから愛着あります。

2007年12月5日水曜日

雑誌掲載のお知らせ


「航空旅行」ハンドブック '07-'08

という月間エアラインの増刊号雑誌にフルカラー5ページで
ハスキーと私の活動が紹介されています。
内容はまだUPするわけにはいきませんので
本屋さんの航空関係の棚で是非ごらんください。
よろしければ、ご購入も!

題名は
グレイシャーオンザロックはブッシュプレーンで
究極の自由旅行アラスカの大自然を飛ぶ!」

正直、こんなに大きく取り上げられるとは思っていませんでしたので
ちょっと感激しました。

2007年12月3日月曜日

オーロラ空撮可能か?Nikon D3導入




大雪山系の山に行ってきました。

でも今回は、NEWカメラの話。
とうとう我が野営飛行映像舎も
ニコンのフラッグシップモデルを導入することになりました。
その名も「Nikon D3

このカメラを
その冬山に持ってゆき
描写性能、耐寒性能、高感度性能などをテストしてきました。

うーん、信じられない・・すごいカメラ。

いままでの一眼デジタルカメラ(フィルムでも!)では考えられない
超高感度撮影が可能になんです。
どのぐらいまでが可能かというとISO6400までなら常用可能
増感すればISO25600まで撮影可能というモンスター。
これは一体どんなことが出来るのかというと
極端なことを言えば
オーロラの撮影を手持ちで出来てしまうということです。
だから、ハスキー飛行機で
飛行しながらオーロラ撮影しよう!なんてことも可能かもしれません。
来年のテーマになりそう。

とりあえずISO6400そのままの写真(加工していない)を
作品をUPしますので見てみてください。
こういう光の少ない場所でのノーフラッシュ撮影は
いままで撮れませんでしたので驚いています。


作品名「山飯場」

2007年11月20日火曜日

倶知安、ゆきの庵(いおり)から


先日、編集者と出版の打ち合わせをするため札幌に行く。

久しぶりに都会の雰囲気を味わった。
田舎じゃ見られないセンスの良い装飾品や絵や
ファッションに刺激を受ける。
自然だけではなく人が作り出したものも美しい。
センスのよい実物を目の当たりにするのって重要だ。

編集者さんは、写真をもっと見せたいと
A4サイズのフルカラー本を提案してきた。
A4とは、また・・大きな。
しかもフルカラー??

「一冊の値段が高くなりそうで恐いです」と言うと
「お金は問題じゃない!いいものを作りましょうよ」、と諭される。

まあ、インパクトを考えるといいのかも。
写真集的な雰囲気漂う本になりそうです。

時間などを考えると12月中の発売は間に合わなさそう。
1月ぐらいかな?

雪の倶知安で
じっくり煮詰めようかなと。


写真は、家が狭いので押し入れを改造した執筆作業現場。

ウイスキーボトルがすだれの下に陳列している奥座敷は
通称、「湯口庵・・」と嫁に評されています。
果たしてよい意味なのか悪い意味なのか?

それで本の最後はこうしようか、と

時に、平成の十九年、十二月のつごもりごろ、(終わりごろ)
野営の湯口、倶知安、ゆきの庵にして、これを記す。

そう気取ってウイスキーを飲もうとすると
ボトルはすでに
すべて空になっているのでした。

うーん、書けない・・

2007年11月19日月曜日

大雪で日本酒




まだ土地の人に言わせれば
この程度の雪は大したことないのだろうけれど
以前住んでいた千歳などに比べると
明らかに雪の量が多く時期も早い。

木造の家の中はとっても寒く
外は大雪が降っている。
昨日は札幌から車で帰ってくるとき
羊蹄山の麓を走行中、吹雪で
ほとんど前が見えなくなってしまう。

今朝早く外に出てみて
雪かきに追われる人や除雪車を見て
心が踊ってしまった。

冬山シーズンの到来だ。

もう裏山は滑れるだろうなぁ。
明日は寒気が一時的に緩むから
久しぶりに滑りに行こう。

アラスカでも雪は降るけれど
日本のちょっと湿った雪は一味違う感じがする。
なんというか
いろんな意味で日本は湿った国なのだ、
と思うのです。

食事や水や自然がもつ湿気が
とても心地よく感じられるのは
乾いた冬のアラスカにいたからでしょうか?

さっそく雪で日本酒の「おヒヤ」をいただきました。

ニセコ初冠雪


ニセコ、倶知安に雪が降った!

僕はこの街の冬景色を知っているけれど
冬へのうつりかわりはまだ知らなかった

アラスカに一年間いたから
倶知安の冬を過ごすのは今年が初めて。
アラスカの冬を過ごすのと同じぐらい
楽しみで仕方がない

北海道はいいよ


くるぶしまで積もった雪をたのしむため裏山へ

日本海の水をほどよく含んだ
しっとりめの雪が
ぎゅっぎゅう と鳴る。

踏み跡のない雪原を好きに歩くたのしみ


雪はいいな。
いろんなものをおおい隠してくれる。

今年の冬は
大好きな北海道ニセコの山麓で暮らします。

2007年11月5日月曜日

執筆



まだ執筆最中ですが、
こんな広告が出てきました・・・

プレッシャーです。


最近は、入稿の締め切りに追われて
朝日を見る日が多くなってきました。
この日記も、気分転換に書いていますが朝の6時・・

「本を書く」ということをやってみて
はじめて分かることはたくさんあります。

まずは、
何を書くのか?ということに関して
改めて考えさせられるということ。
この点について僕の場合、
アラスカで体験してきた具体的事実を
いかに表現から省くか?で苦心しています。

単純なことだと、
書きたいことが、「アラスカ冒険飛行日記」ではないので
「バローで珍しいものを発見した、それはシロフクロウだった」
とか、そういうムダな記述は、必要最低限にとどめなくてはいけないし
情景の記述も、「美しい」、「素晴らしい」、「感動した」を
表現に用いない、、など。

複雑なことだと、
言いたいことをいかに水面下で浸透させて
作品全体に貫かせるか?など、

この日記じゃ絶対にない悩みが、多く出てきます。

言葉は、日常で用いているものなので
簡単に扱えると思いがちですが
ところがどっこい、日記と違って
他者への表現が絡んでくると
「コトバこそ自分」という状態になり、一字一句に脅威を感じるのです。

自分の本をだす=無責任からの脱却

そんな気分です。

写真も、たくさん載せることになりそうです。
写真家としての作品、という一面もあるかもしれません。

果たしてどうなるかも分かりませんが
「夜、不安になってしまったとき手に取りたくなるような本」
であったらいいな
と思って書いています。

2007年10月28日日曜日

昔の日記

執筆に際して昔の日記などを
しげしげと呼んでみた。

おもしろい。

アラスカに行ってから一ヶ月もしないうちに
「飛行機買う!」と豪語しているじゃないか。
とんでもないな(笑)

日記を読んでいると
資金調達どうしようか?だとか
いろいろと現実的に困難な状況が分かるのだけれど
ただ「自分の飛行機でアラスカを自由に飛びたい」という
情熱だけはヒシヒシと強く伝わってくる。
それでも当時は、
本当は不安で不安でたまらなくて
「ほとんど可能性なんてないのだろうな、、」
と家の天井のシミを眺めながら
途方に暮れていたものだ。


自分で言うのもおかしいけれど
強い想いだけが、
必ず自分をその道に導いてくれると思います。

今は、そういう想いを
自分の本に書き留めることができれば、、と
思ってます。

アラスカに飛行機をおいて
今は日本で執筆活動ですが
心はやっぱりアラスカ。


しかし本なんて誰が読むんだろう?とまた不安。


たぶん不安と夢は同じものなのでしょうね。

2007年10月22日月曜日

「幸せの基準」

最近、雑誌の記事を読んでいて
とても考えさせられることがあった。

それは、とある女性作家のインタビュー記事だったのだが
今の日本人の生き方に関する批評というか提案的な内容であった。

彼女いわく
「日本人は、もっと全体として生きるということを大事にするべきなんです」

ん?どういうこと?

「生きるという行為は、日々の仕事をしっかりやってお金をたくさん稼ぐ
というだけで成り立つというものではありません。どんなに偉くなったって、ご飯も食べなくてはいけないし、近所のつきあいや友人との対話、家族との毎日の会話などや隣人の死、不幸などいろんなものと関わってゆかなくてはいけません。その一方、自分なりの楽しみなどを大事に持ちながら、なんとか心と体の安定を保ちながら生きてゆくのです。その点、日本人はそんな生活の中で、幸せの基準がとても貧弱というか豊かじゃない。他の国の人は、どんな貧困の人でも日常の些細なことに喜びを見いだして、それが幸せの一つの基準になっているのに日本人は何か特定の対象に突っ走って上を目指さないと幸せじゃないみたいで、すなわちそれは、全体として生きていないということなんです」

なるほど・・

「堀江さんがいい例です。東大に入学して目標がなくなり、その次お金という非常にわかりやすい目標に向かって突っ走った。でもその過程にあるものは、からっぽで突っ走っているときは何とか生きてゆけるけれど、止まると生きられない」

仕事辞めてから突っ走ってきた僕には耳が痛い

「生きてゆくこと、それだけで幸せ」が基準にない。たとえ自殺したくなるような辛いことがあったとしても、日常の中に幸せの基準があればそれを思いとどまることもできるのに日本人にはそのような基準がやっぱりない。いま日本では様々な社会問題が起こっていますが、それは幸せの基準が変になったこの国の必然です」


おかしなニュースが普通になった日本。
幸せの基準が変、、というのも納得だけれども

まずは
「幸せの基準」が個人で作れるようにするようになったら
いいのかもしれません。

2007年10月20日土曜日

景色を撮るカメラのこと


今回は、珍しく機械の話


機械といっても仕事で使うカメラのことです。

アラスカで飛んだり
北海道であまり人の行かない冬山などにいく
お仕事をしていると

「見たこともない景色」

に何回も出会うことが多く
(毎回、更新されていると言うこと?・・・それとも感動屋さん?)

その瞬間を切り取る

「カメラ」

という存在がとても
私には大事になってきます。

見た景色を、なんとかそのままの状態で
日本のみなさんに見てもらいたい。

そんな大事な「感動を伝達する媒体」としての
カメラの存在は、とても重要になってきます。


現在使用しているのは、ニコンの「D200」という
素晴らしいデジタルカメラ。
北海道の冬山で何回もスキー転倒の衝撃に耐え
極寒アラスカを空でも
しっかりとその風景を切り取ってくれたこのニコン「D200」。
本当に頑張ってくれて愛着たっぷりの相棒です。
正直、デジタル一眼レフのカメラが
こんな厳しい使い方でも耐えうるとは
思っても見ませんでした。

しかしながら、この秋
ニコンから全く新しいフォーマット(規格のことです)
のカメラが出現しました。

「D3」という名前のフラッグシップ機は
全く新しいセンサーを搭載し
私のいくような困難な条件の場所でも
素晴らしい機能を発揮してくれそうです。
機能などを調べると、
シャッタースピードを稼ぎたい場所での撮影が多い
空撮や暗い冬山での撮影など、
まさに私の活動には決定版とも言うべきこのカメラ。

前のニコン「D200」を使用していたときは、
写真を糧にして生きている友人たちから
「キャノンにしなよ」と言われてきましたが、
すでに「D200」が北海道の冬山20回以上の撮影を
何事もなくこなしてきたという自分自身の経験で
キャノンへの移行はしませんでした。

そして待っていた
ニコンの高感度に強いフルサイズセンサー機(分からない人ごめんなさい)

アラスカから帰ってきて次の冒険飛行までに使いこなすためにも
今が入手の時期か?と思いつつ次機種選定に悩んでいるところです。

とホームページの写真ひとつ撮ることでも
こんな舞台裏があったりするのです。

(HPの写真自体は大したことないですが、
しかし自分で操縦しながらの撮影は
それなりのカメラが必要なんですね)

さて、50万円はするこのカメラ
お金の方も悩みどころ・・・


冒険とは、その場所に行くだけでなく
それを伝える手段や方法、そして
事前の準備など目に見えない陰の部分が
とても大変なのです。

でも、やはり
よい景色をお見せするためにも頑張らなくては!

取材の原動力

昨日、NHKの記者さんが家に取材に来た。

以前(4月)も取材に来てくれて翌月に
アラスカの映像が北海道のニュースの時間に放送されたのだけれど
それでおわりだろうな〜と思っていたら
また取材と放送のお話。

今回もドキュメンタリーとかではなくって
ニュースの短い時間帯で紹介してくれるらしいのだけれど
2回目の取材に記者さんともすっかり仲良くなってしまった。

そういえば、記者さん?ディレクターさんじゃないんだ・・・
記者さんは、日々のニュースをひろって放送する人たちで
こういうことはあまりやらないらしい。

取材されるときは、いつも取材してくれる人の
着眼点というか、観察眼というか、いわゆる熱意みたいなものに
逆に興味がわく。何かの対象を取材して世に伝えるという仕事は
とんでもなくパワーのいる仕事で、その原動力みたいなものが
どこから来ているのか?聞いてみたいなぁと思う。

きっと今週の金曜日、放送されるようです。
たぶん夕方、たぶん5分間ぐらい?(まだ予定ですが)
ハスキーでの激しい着陸など本邦初公開をハイビジョンで見られるので
(べつにハイビジョンじゃなくても見られると思いますが)
北海道に住んでいる方は、見てみて下さい。

NHKの放送予定です

NHKの放送予定です(北海道のみ)

前回も書きましたが
NHKテレビで紹介されることになりました。

10月19日 
午後6時30分頃から5分程度
NHK北海道にて

内容は、今夏の活動を
撮影してきたハイビジョン映像で
紹介するものです。
私のインタビューもでてきます。

ハスキーによるブッシュ着陸や北極海の空撮映像などが放送されます。

ハイビジョン放送の世に中になってきて
私が撮影してきた映像がハイビジョンそのままで流れるなんて
信じられないような嬉しさです。
(もちろんハイビジョンテレビじゃなくても見られます)

将来は、ハスキーでアラスカ中を旅するという内容でみなさんに
テレビでアラスカ空の旅を味わってもらいたいなと思います。
(あくまでも希望ですけどね)

再放送も予定されています。
北海道の方はぜひご覧下さい。

「Glacier Blue」


久しぶりにアラスカフライトの写真をHPに載せました。

夏だけ見られる氷河の青です。
「Glacier Blue」


もう冬に向かいつつあるニセコの家のコタツの中で見る
アラスカ氷河の写真も悪くないものです。

p.s.
お誕生日おめでとうメールを下さった方々、
本当にありがとうございました。
個々にお礼メールできず申し訳ありません。

2007年10月13日土曜日

日本での今後の予定です

日本での今後の予定です


みなさんお久しぶりです、
お元気でしょうか?
私の滞在する北海道ニセコは、
かなり冷え込んできました。
蝦夷富士羊蹄山は、9合目あたりが雪で白くなりつつあります。


私もアラスカから帰国して、はや一ヶ月
今冬は、北海道で過ごすことにしました。
今夏のアラスカ活動記録などを
日本で報告したり、本の出版に集中するためです。

しかしながら、
なかなか今回の
アラスカのフライト記録や
川下り記録などの
整理も進まず
(これは、日本の山、釣りで遊びすぎという話もありますが・・)

年内出版を目標にしているアラスカ本の
執筆作業もなかなか、、、という感じです。

今後は、下記の予定で
スケジュールを進めてゆきたいと思います。
今冬は日本にいるので、みなさんともお会いできるかもしれませんね。

〜湯口の今後の予定〜
12月上旬:アラスカ本「極北飛行」(仮名)出版予定(須田製版)
12月中旬:札幌にて出版記念写真展、並びに講演会を実施。
1月中旬:東京にて 出版記念写真展、並びに講演会を実施。
〜アラスカ行きまで(5月以降):ご希望のある地域、場所で講演会、写真展開催


さて、スケジュール通りにうまくいくのか?
これから秋の夜長、執筆!執筆!です。
ホームページも徐々に更新してゆきますので
(まだたくさん未発表の写真、映像があるんです!)
ちょくちょく見に来てくださいね。


秋のニセコでウイスキーを飲みながら、、ご報告でした。

2007年9月17日月曜日

オーロラ夜間飛行と死

オーロラの降りそそぐ空を飛んだ

それは8月の終わり、
フェアバンクスから
20マイル北の空

離陸とともに
自分の翼下が
フェアバンクスの
オレンジ色で補完されてゆく。

暗夜の海の小さな灯り。
街を外れると、
自分以外のものはすべて真っ暗。

怖いと思う。
アラスカの空を飛んでいて
初めて気味悪かった。
飛行機の計器は3つ壊れていて
そのうち、姿勢指示器は完全に故障。
カネがもったいないから直さないが、
それはなくても飛ぶ。

死というものを少し意識する。
きっと自分が、おかしくなったら
この飛行機は落ちて僕は死ぬだろう。
夜に姿勢がわからなくなって死んでいった
パイロットは沢山いる。
正常であるという言葉は
こういう状況だけで使用される。

人間の生命力が一番活発な時、
それは死を意識する時。
これは間違いない。

安全でとりあえず、、という場所で
スマートに遊ぶ知識人より
崖っぷちで死にそうなことをやっている
クレイジーな貧乏人に興味がある。
そこにあるのは真実だと思う。

オーロラは、完璧だった。
ハスキーの透明天井に映るブレイクしたオーロラは
空間の上下を僕に伝える媒介であって
観賞用ではなかったが、でも美しかった。

深夜3時ごろ着陸。
帰宅後、ウイスキーを飲んで
鴨長明の朗読を聞く。
とても不思議な感覚におそわれる。

小さな達成感、疲労、孤独。

たぶん死ぬまでこんな感じだ

2007年9月13日木曜日

日本の自然へ

昨晩、無事帰国しました。

前回もそうでしたがアラスカから北海道に戻ると
両者はとっても似ているような雰囲気なのに
実は全く違う土地なのだなという印象を受けます。

空から眺めると北海道は人がたくさん住んでいます。
日本の中では、広大な大地というイメージがありますが
アラスカと比べると、かなり人が
野山に進出して生活しているのが分かるのです。

僕は空から見たアラスカを表現するのに
「神のお作りになった箱庭」
という表現をするけれど、北海道は
「人が作った箱庭」
のような感じを受けます。
もちろんよい意味で。

アラスカの素晴らしさを知ると、さらに別の観点で
日本は本当に素晴らしいところだと感じます。
日本の自然は、生活密着型の身近なものとして
人と深く溶け込んでいて
それがおいしい食事や
日々の快適な生活に表れているのだなと。

手付かずの自然はワイルドで魅力的。
でも日本の自然は
それではないような気がします。

「日本人の生活そのものが自然」
であると思うのです。

帰国後さっそく
羊蹄山の見える温泉に浸かり
ニセコの生協で、刺し身を買い
絶妙な飲み口の日本酒を飲みながら思うことは
そういうことなのでした。

最後に、
今回の旅でお世話になった方々
本当にありがとうございます。

アラスカで感じたこと、
皆さんに出会って初めて知ったこと
その他すべての魅力を
写真、映像、文章で精一杯日本に伝えようと思います。

「何か」の中に・・



(9月8日の記事です)

早いものでアラスカ滞在3ヶ月は
嵐のように過ぎ去りました。
今晩帰国です。

今シーズンすべての撮影飛行が終了し
ほっと安心、新しい試みを数多くしたので
正直心配でしたが本当によかった。

今年は短い滞在だったけど
突っ走ったように感じます。

なんだか分からないけれど
時間がないから
真剣に見ようとするし
真剣に向き合おうとする。

人生も同じなのか
死ぬまでの時間を意識すること
に似ているとも思います。

時間がない・・と思うと
あせるのではなく
真剣に楽しもうとする。

氷河の上などを飛んでいて思うことは

「このまま、エンジンが止まって氷河に突っ込んだら
僕は後悔するだろうか?」

なんてことです。

「死んでもいいと思える何か・・」

不謹慎かもしれないけれど
そんな「何か」の中に身をおきたい。

情熱という名の手法

(9月6日の記事です)

3泊4日でフェアバンクスからハスキーで連れてきた
カメラマンの友人とアンカレッジ氷河や自然と
ハスキーの撮影合宿が終わりました。

彼がフェアバンクスへ帰ったあと
あらためて撮影映像を見たのですが
恐ろしいほどの質感と色合いをもって
アラスカの自然がしっかりと動画で
表現されていました。

動画というよりは、すでに映画の1シーンで
あるような意味のある絵。

今シーズンは、自分でカメラを回して
アラスカの映像を撮ることは
大変難しい(技術的なことを含めて)
なかば映像製作はあきらめていました。
しかし出会いというものは
その人の人生を変えてくれるもので
あきらめるどころか、彼の撮った映像を見て
アラスカ飛行に関する何かができるのではないか?
という可能性と映画製作という将来の夢を感じたのです。

カメラという自分を表現する手段と
それに関することなら
誰にも負けない情熱を持っている彼を
僕は、ハスキーに乗せて
アラスカの大自然を撮ってもらいました。
上空で片時もカメラを離さない彼を見て
情熱のあり方などを感じたのです。

僕は、その人の性格などよりも
その人が何をしようとしているのか?
に興味があります。
何かをしようと必死になっている人は、どんな状況でも
絶対にエクスキューズせずまわりにアホだとか言われても
勢いでなんとか中央突破する。
その突破力みたいなものを見ていると
とても勇気づけられる。
すなわち・・
ちょっと無謀な情熱だけが
僕を元気にし
夢を与えてくれるんだと。

彼の映像は日本で
大画面を使って皆さんに見せたいと思える出来です。
あとはなんとか
うまく編集して仕上げるつもりです。

写真も文章でもそうですが、
表現なんて何でもよく
その時に一番伝えやすいものを選んで皆さんに
見てもらえればよいと思っています。

でも、結局手段いかんに関わらず
伝えなきゃいけないものは
「情熱」なんじゃないかと

情熱さえ伝わってくれば、
それがどんなに下手な手法でも
僕は、その人を好きになると思うのです。

最後の宝石

(9月5日の記事です)

夕方、アンカレッジの夕日が
急に美しくなった。

フェアバンクスから連れてきたカメラマンの友人と
急いで近くの野っ原飛行場に飛んだ。

飛行場に友人を降ろして
すぐに離陸、夕日を飛ぶ僕を
彼は一生懸命撮ってくれた。

帰りは、真っ暗で
野っ原飛行場は何にも見えない。

でも離陸ならだいじょうぶ。


帰りのアンカレッジ、夜11時。


夜景は宝石・・のよう



タメイキひとつ



こんな景色を
いま生きるのがつらい
と思っている
すべての人に見せてあげたい。


帰ってきて確認した映像は
たぶん、、
いろんな人を救えるなんて言ったら
大げさかもしれないけれど
すごく感動的な絵だった。



神様は
辛かったり、やるせないとき
きっとその人がどうしようもなくなる前に
ちゃんと大切な出会いを与えてくれるんだと思います。


アラスカを
去らなければいけない直前に
ありがとう。

フェアバンクスから帰ってきました

(9月3日の記事です)

フェアバンクスから戻ってきました。

約2週間の滞在

おもしろかった・・

以下がやってきたことです

1.ハスキーで秘湯巡り、アラスカに温泉?ちなみにチェナではありません

2.ハスキーでユーコン川のほとりに着陸、のんびりした

3.車で友人とその愛犬とダルトンハイウェイを北極圏デッドホース終点まで北上。
ブルックス山脈で動物多数、途中のキャンプでは爆発的なオーロラが皆既月食と一緒に!

4.ハスキーでオーロラをついに見た。
空を飛びながら見るオーロラはなんか不思議な感動がありました。やってみたかったんです。

5.ハスキーで道路のアクセスが不可能、
でも地図には記されている温泉を捜索し3ヶ所を発見。来年の探検場所に決定する。

6.フェアバンクスのみんなと飛んだ。
地元の友人に空から色々と観光案内してもらった。

7.素敵な親友ができた。


十分過ぎるほど
やりたいことが出来て
もうすぐ帰国だけれども
寂しさはありません。



でもやっぱり寂しい


帰国まであとわずか
悔いの無いように飛ばなきゃ。

そんな時間を過ごしたい



(8月19日の記事です)

今日は、怪しいけれども
なんとか飛べる天気だ。

無風の中を東のチュガッチへ向かう。
山に雲はかかっているけど、
なんとかなるさ。

後席の友人に操縦させる。
フラフラしつつも
けっこう上手だな。

しかし・・
いきなり飛行機の操縦なんかしたら
その人は、どんな気持ちになるのだろう?
いつもと違う自分を
発見してもらえたらいいのだけれど。

そんな空の上では
その人の本音というか本当の姿がわかる気がします。
たぶん、地上の雑多な事を
空の上では考えなくてよいから、かな。

そんな二人っきりの本音トーク、
もしくは景色を見ているだけで言葉のいらない時間。
一緒に焚き火の炎の揺らぎを見ているときの
感覚に似ているよ。

たぶんフネもそんな感じかな。
動くこと、空や海の上に浮かぶこと
そのものが
満ち足りた時間。

そんな時間を
ずうっと
仲間とともに過ごしたいな。

夢のつづき講座

最近、こんな歳になりつつも
まるで高校3年生のように
自分の将来のことなどいろいろと考える毎日。

自分のもつ
「好きなことをなんとか、たぐり寄せたい」
という
なんとも面倒くさい性格は
悩みの種だったりもする

そんな自分に少しばかりの光を見せてくれるのが
同じ考え方を持って行動する友人たち。
ちょうど同い年ぐらいの人たちが多いのだけれど
彼らもまた同じように悩み苦しみつつ
ぼんやりとでも目標を追っかけている。
30歳を超えてからいろいろと考えて
世間の庇護から飛び出してきた人たち。
日本人では、結構貴重な存在だ。
少なくとも僕のまわりでは。

人を強引に二通りに分けると
「あえてしないタイプ」
と「敢えてするタイプ」
がいるような気がする。

その「敢えて(無謀と思われることを)するタイプ」
というのはだいたい苦しむのを分かっているのに
やっぱり苦しんでいる。
それでも、やっぱりそうするのは
なんだか、やらされているような人生を
何とか変えたいから、だとおもう。

実名を挙げて
応援の言葉を送りたい人がいっぱいいるけれど
彼らは、今も必死に頑張っているのか?

そんな人たちのため、そして自分のために
ちょっとしたコーナー を作りました。

夢のあり方についてを
テーマにしてゆくつもり。
どんな受け止め方をされるだろうか?

夢のつづきはアラスカで・・

(8月14日の記事です)

この5日間、ガルカナ川という場所へ川旅に。
フェアバンクスの友人達と合流して
全て川でのキャンプ5日間。

夢ではないか?と思うような
アラスカの美しい川を旅できる喜び。

美しい川をカヌーで


ビーバーとの追っかけっこ


夜の美しい森と川


そしてオーロラに囲まれたキャンプ




美しい川と森、元気な野生動物、美味しいお酒、オーロラ
そして・・友人たちと語りあう夜。

もういつ死んでもいい・・といったら不謹慎ですが
そんな体験の連続がガルカナ川の旅でした。


「夢のつづきはアラスカで・・」

これは私の メールマガジンの題名ですが
このつづきは、どこに行くのだろう?ともおもいます。

フェアバンクスに住む友人の一人がこう言っていました。

「この生活そのものが私の夢なの」

夢とは、目標そのものではなく
それをやり遂げてゆく過程のことを言うのでしょうか。

実験君

(8月7日の記事です)

野営飛行映像舎の実験映像です。
(Winの方はQuick Time最新版が必要です)
スリーピングレディに沈む夕日撮影です。
(ちょっとせわしないですが、、実験ということで)

最近、やっと機材を少しだけ使いこなせてきてるような
感じなのですが、人に何かを伝えるには
実に様々な表現手法を学ぶ必要があるのですね。

写真、映像、文章、対話、一緒に飛行、キャンプ、飲酒

そんなことの集大成が最終的に対象へのフレーミングを決める
自分を作るような気がします。

でも、写真も文章もそうですが
まだまだ、、、と自己反省の日々です。

夜のズーニー語録

再度、山田ズーニー語録です

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひどい人間だと言われたら、いい人間だと弁明しない。
すまないことをしたら、いいことをして埋めあわせない。
胸にぽっかり穴が開いたら、代わりの何かで埋めない。
不安になったら、人から証(あかし)を求めない。

反作用をいったんこらえる。

それよりも、
自分をとりまく状況をちょっと広い目で見てみて、
そこに生まれ、
進みつつある「面白い企て」を前に進めることだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(おとなの進路教室。)より


アラスカにいて自分の好きなことをしているのに
書きたいことは、そういうことじゃなかったりする
のは何故だろう?

ええと、、

文中の
「面白い企て」を前に進めること

にいたく同感。

世の戯れ事(例えば人間関係など)は、ひとまず
それはそれとして、あなたのプロジェクトを進めなさい。

そんな私的解釈。

面白いプロジェクトを持っている人が好きだ。
そういう人と話すと、
面白くないと思われているこの世を
バラ色に変えてくれそうな気分になるから。

この前は、航空写真家のJeanさんがアラスカに来てくれた。
エキサイティングだった。Jeanさんの作品には夢がある。

消極的と思われがちな価値観を持っている人も実は好き。
無欲の生活を「面白い企て」にしている人たち。
ナチュラリストっぽい人が多い。

こういう人たちは、アラスカならガードウッド
日本ならニセコにたくさん生息している気がする。
フェアバンクスは、町全体がそんな感じかも。
日本の岳人は、この予備軍と思われ、、

そんな感じで
暗くなってきたアンカレッジの夜、
またもやズーニー語録にやられているのでした。

なりたい自分か?やりたいことか?

(8月2日の記事です)

アラスカ飛行&アウトドア活動中に
本を読むのは楽しい。
からだを休めている時に
ネットで好きな作家のコラムを読むのも
精神的な平静にプラスして
好奇心をくすぐるのにはいい行為です。

今日は、山田ズーニーさんの
「なりたい自分か?やりたいことか?」
というコラムを読みました。

どんなことかというと、
人が将来について考える時
以下の2通りのうちどちらかを考えるそうです。

1.なりたい自分→こうなりたいと思う内向きな欲求
2.やりたいこと→なにかに影響を与えたいと思う外向きな欲求

つまり

1.は、行き着くところが自分のことで
2.は自分はどうでもよくてそれより
外の何かに影響を与えたいという感じ。

そこでズーニーさんは問う。
「あなたはどちらですか?」と・・

面白いなとおもう。

なぜならば、
今「宇宙からの帰還」という
立花隆の本を読んでいるから。
この本は、宇宙飛行士が自己実現を終えてから
(つまり宇宙から戻ってきてから)の人生に
焦点を当てて書かれている本なのです。

ズーニーさんのいう、
1.「なりたい自分」を終えて
2.「やりたいこと」を模索する
宇宙飛行士のことが書かれているのです。

宇宙飛行士といえば、
たぶん自己実現の最たるもののような気がして

それらが終わった人たちは、一体どうなるのか?
宇宙飛行などは、そんなに何回も出来ないから
宇宙に行く=目標がある程度終了
な感が否めないような気もします。

「宇宙からの帰還」を読むと
それぞれの宇宙飛行士の人生観の変わりようと
その後の人生がよく理解できます。

たぶん、、だけれども、、
なりたい自分に終わりはあるけれども
やりたいことには、終わりがなくって
なりたい自分を通り越して(もしくは最初から無視して)
やりたいことに行き着くことが、
なにやら幸せの入り口のような気もします。

こんなふんわりとして曖昧な、、
でもじっくり考えるべきことを
提供してくれるズーニーさん。

女性の思考は素晴らしいなとおもうのでした。

北極海の旅、無事終了


(7月24日の記事です)

バローから今回のベースにしているフェアバンクスに
無事戻ってきました。

帰りは、こんな感じの経路でした。

バロー
↓(3時間)
アナクトビックパス泊
↓(1.2時間)
ワイズマン
↓(1時間)
ベテルス
↓(2時間)
フェアバンクス

バローでは出発の日、濃い霧に囲まれつつ(ついでに超二日酔い)
飛行場を離陸、どこかで同じく飛んでいる友人パイロットと専用周波数で北極海沿岸の空を無線でおしゃべり。

「ヘイ、イサオ 飛行機とお前の調子はどうだい?
アンカレッジに帰ったら、お前のハスキーで一緒に釣りにいこうな。だから無事に帰るんだぞ。」

北極海とブルックス山脈をつなぐ大ツンドラ地帯を
独り飛んでいるときには格別に嬉しい言葉だった。

そういうわけで今回のアラスカ行のメインイベントは
無事終了
(まだフェアバンクス→アンカレッジが残っているけれど)

夢のまた夢、次はどうなるんだろうと
ちょっとエキサイティング。

北極海


(7月19日の記事です)

今日はパイロットをしている友人の物資輸送飛行機で
北極海に面した村を
何回も飛ばせてもらいました。
物資輸送は、食料や研究者用の資材、クジラのヒゲから
なんと死体も運ぶことがあるそうです。

3回のフライト合計5時間ぐらい。
4つの村(ATQASUK、WAINRIGHT、POINT LAY、BARROW)
を物資輸送で行ったり来たり。
上記の村は、聞いたこともない読めない地名だったりして
とても興味深かったです。

北極海に面した湿地平原は、無数の湖沼が点在し
上空から見ていて本当に飽きない。(写真はハスキーのやつ)
久し振りに人の操縦の飛行機に乗って
自分は余裕を持って撮影できるのでうれしかった。

ネイティブレッジの人たちは
日本人と顔が似ていて親戚のような気がし
なんだかうれしかったし
空港に生活物資を取りに来る彼らの笑顔は
とても無邪気な感じがして、
一緒にいてとても楽しかった。

ここにいて感じることは、
ただ毎日を生きるという事実だけが
こんなにも素晴らしいことなのだなということ。
何もなくったって、何もないなりに、、
苦しくたって苦しいなりに、、
楽しいなら楽しいなりに、、
寒いなら、、
辛いなら、、

ちなみにバローの夏はそんなに寒い場所ではありません。
北極海に面した場所に住む人たちも
夏を楽しんでいるようです。

最後のフライトは、北極海の海岸線沿いを
超低空でパスしてもらいました。

海岸に打ち上げられたベルーガを5頭ほど見ました。
ベルーガの白い艶容な曲線が
なんだか人魚が倒れているみたいで
でもそれに群がるカモメをどうすることもできなくて
それこそまさに自然なのだなと
しみじみと眺めていました。

沈まぬ太陽、ポイントバロー


(7月18日の記事です)

北極海

ハスキーとともに
アンカレッジからついに到着
アラスカ縦断の締めくくりは、
北の果て「Top of the world」
ポイントバローの写真で。

今日、アラスカで一番美しい村「アナクトビックパス」を
出発して3時間、ブルックス北斜面の美しさに言葉が出ず
ひとり自然のことやその他、、珍しく生きることなど
いろんなことを考えたりしながら飛んでいました。

本当はフェアバンクスをでてから
いろんな村に立ち寄ったのですが
その過程は、後ほど。(それも素晴らしい場所ばかりだった)

ハスキーのコックピットで北極海を見た時は、
なにかが一つきれいに終わったような
終わりの寂しさがない達成感みたいなもの
が湧いてきました。

長年夢見ていたものは、ひとつひとつ
きちんと弾けてゆくものなのでしょうか?

沈まぬ北極海の太陽の夜に
次なる目標なんかをぼんやり考えたりしています。

明日から北極海


(7月15日の記事です)

一週間、心優しきフェアバンクスの友人宅で
たっぷり休養を取りました(+たっぷり飲んだ!)

明日から以下の旅程で北極海(バローを目指します)

フェアバンクス
ビーバー
シャンダラーレイク
ベテルス
アナクツゥビックパス
AN
バロー

燃料の補給とブルックス越えの天気が焦点。
エンジン故障の際の不時着点も考慮に入れるとなると
もはやプライベートな旅ではないような・・・
燃料は、予備ガソリンを積み込み
ブルックスは、うまく白夜を利用して
フライトなど考えています。

人のいないところに着陸してブルックスとANWRを
感じてこようと思います。

写真は、先週の日曜日に撮影したものです。
森林火災のあとのピンクの絨毯です。

Windy Pass




(7月13日の記事です)

タルキートナを越え
翼の延長線上にデナリを見つつ
さらに北上(写真左)

デナリを形成するアラスカ山脈を越える場所へ

Windy Pass(ウインディ・パス)という
その名の通り風の強い峠を越える。(写真右)

デナリといえば、この季節。
誰もがデナリ・ナショナルパークなる場所へ行くようです。
特に写真家さんがよく行く場所みたい。

上空から見るとひとすじの道、、

このたったアラスカの一部分から
生まれる作品はどのくらいあるのだろう?


僕は写真家ではないからかもしれないけれど

何か人に見せたい風景や行為は
まず自分がやってみたい旅や
なにやら面白そうな冒険を計画し
それに実際に出かけて

その旅の過程で
「ああ、、」と唸るほど
心の奥底を刺激されるような対象に出会った時に
たまたまカメラやら記録媒体があって
撮るだけのことであり
いわば自分の旅の副産物であって、、

自分が望んだ苦労や困難の果てにある
本当にやりたかった旅の一つの
ごく簡単なオマケみたいなものだとおもうのです。
深く刻まれるのは、自分の心であり
フィルムでもCCDでもなく。

よく心うたれる作品は、
その旅の過程からこぼれ落ちるものであり
旅そのものの結晶ではないんじゃないかと。

手付かずの自然への探訪という
アラスカの旅がメインなら、何でわざわざ
人のいるところなんていこうものか。

せっかくアラスカに来た写真家さんが
デナリなんとか、に行くと聞くと
寂しい気持ちになるのは僕だけなんでしょうか。

デナリ公園のお土産屋さんが立ち並ぶ
上空を飛ぶとそんなことをおもったりするのでした。


写真中央:Windy Passの状況を必死に読図するフリをする

デナリのバナナ




(7月13日の記事です)

森林火災のあとをパスしたのち

デナリのよく見える所までパークス・ハイウェイを北上。

きれい

ちょうど僕が飛んでいる時、フェアバンクスに住む友人3人が
デナリに登っている最中という情報を出発前に聞いていたので
3人の無事と成功を上空から祈った。


しばらく続くデナリの景色。
ハスキーのぐるりを囲む、そのデナリとの距離感。

なんだか、ただ飛んでいる僕も
その空間的な距離にあまり意味がないように感じ

でも、ちょっと
よく分からない気持ちにもなり
お腹が空いたので
バナナを高度2000の高みで食べたのでした。


その昔、日雇い人夫的な飛行士がいました。
仕事がない日は、別の土地に
何のあてもなく、気分で飛ぶ飛行士。

それをジブシーパイロットとよんだそうです。

現代のジプシーパイロット
バナナもガソリンもなくなったら
あとは歩くだけ。

BIG SUの森林火災




(7月13日の記事です)

全開の日記と前後しますが
出発の飛行の話をすこし。

チャーリーリバーに行くために
アンカレッジからフェアバンクスまで
荷物満載で飛んだ時のこと。

出発から30分ほどで前方に森林火災の跡を発見。

これが6月の下旬にキーナイの森林火災と同時に起きた
ウィローとタルキートナのほぼ中間点、
スシトナ川の西側に起きた森林火災。
たぶん落雷が原因と思われますが、
くわしいことは、よく分かりません。

ただ上空から見ていると、
この焼け焦げた
大地のパッチワークのような跡は
果たして本当に悪いことなのか、、どうなのか?
という事すら分からなくなるぐらい
美しいコントラストでした。

僕には、人間の資産を焼き尽くしても
なおかつ必要な自然の営みに思えてなりませんでした。

人間の資産・・


写真上:メリルから荷物満載で記念撮影
中央:森林火災とデナリとスシトナ平原
下:これが良いか悪いか、、あるのは広い大地に広がる茶色の染み一つ