2008年12月31日水曜日

2008年湯口的エッセイ(2)

〜「アラスカ極北飛行」の出版〜

初めて出す自分の本だったので、執筆の日々は悩みと不安が交錯する半年(2008年上半期)でしたが、少なくとも写真だけは、綺麗に印刷された納得のゆく出来だったのでWell Doneというところです。

文章で自分の事を書くのは本当に難しく、それならばと開き直って自分の内面を単純に書いたストーリーが今回の「アラスカ極北飛行」です。
それが功を奏したのか?ストーリー中の登場人物が言う数々の台詞が、一部の読者さんたちに響いた、、というメールをもらったときは、本当に嬉しい気持ちになりました。

こんなん、いつまで売れるのか?

と思いつつ、いまだ私のホームページでは微妙に売れ続けているのが
これまた嬉しい限りです。


〜ぎりぎりの飛行〜

今年は、アラスカの村を沢山飛び回った、、と書いたけれど
その道中は、本当にドキドキハラハラで、エンジン一つの布張り飛行機が
アラスカ中を飛び回る、その危険性をいかに良い意味で無視するか・・それが
今回の旅の要点でした。

安全飛行の要は、やはり経済であり
一円もないのに、飛ぶと言うことは絶対に無理なのです。

よく
「湯口さんはアラスカを、いつも自由きままに飛んでいます」
なんて紹介されるけれど、

「湯口さんはアラスカを、いつも不安に駆られながら飛んでいます」
(不安の原因→ガソリン代とエンジン故障)

に変えてくれないかと、真剣に思うことがある。

こんな冒険飛行が来年も出来るかどうかについては、
まったく分からない?なのだが
不安に駆られるほどの事でないと、逆に面白くないというのも事実。

来年は、飛べないかもしれないというギリギリ感は
その年の飛行を充実したものにするようです。


〜写真展〜

今年、はじめて札幌で写真展を開催しました。
今考えると、帰国後一週間での開催はかなり無謀で、写真展というよりは
パネル展という趣であったけれども、良い経験にはなりました。
(本も100冊ほど売れました)

来年の写真展(流山、佐倉、成田)では、完成度の高い納得の出来る写真展をやりたいなと思って、いま頑張っています。
機材と時間的に、言い訳が出来ない気合いの入った状況を作り出したので
あとはみなさんにぜひ見に来ていただければと思っています。


〜みなさんへ〜

今年は、私にとっていままでやってきたことが形になった
節目になる年だったのですが
その意味で本を購入してくれたり、写真を沢山買ってくれた方々、
本当にありがとうございまいした。

なんかうまく言えませんが、言いたいことは
これからも作品に詰め込むつもりですので
来年もよろしくお願いします。

2008年湯口的エッセイ

〜本当のアラスカ〜

今年は、アラスカの原住民(ネイティブ)が住む村を本当に数多く回った。40ぐらいは回っただろうか?昨年までは、フェアバンクスとかアンカレッジとか白人圏の街をベースに空を飛んでいたのだけれど、今年は白人が全くいない場所ばかりに飛んでいったので、そういう意味で本当のアラスカを界間見た様な気がした。

今年、私がはじめて感じた「本当のアラスカ」とは、

エスキモーやインディアンだけが住む村のカルチャーであり、
舗装されていない(舗装できない)道路が放つあの独特な埃っぽさであり、
そして村の子供達の生きる笑顔とその裏に見え隠れする大人達の
説明しがたい虚脱感みたいなものだった。
大自然に代表される表向きのアラスカだけではなく
これからはネイティブだけの村に行って
その深淵に触れてみたいと思うようになった。

〜芥川賞〜

今年は、二人の女流作家が受賞した。
川上未映子さん、作品はともかく歌手で作家(自称、文筆歌手)というのがユニーク。自分も「野営飛行家」という訳の分からないネーミングをしているので応援したくなった。
楊逸さんは、受賞作も良かったけれどその前の「ワンちゃん」が大変印象的だった。女性の感性と、それに他国の感性が混じると、さらに心に響く表現になるのだな、と。

〜自由な国アメリカ〜

オバマ氏の演説で「アメリカは、あらゆる事が可能な国だ」と言っていた。
確かにそう思う。飛行機の運用に関して言えば、アメリカ以外で自由に飛行機を飛ばせられる国はない(特に私のような貧乏人は)でも、もしアメリカより断然近い国ロシアで飛行機が自由に飛ばせられるのなら、私は絶対にロシアに行っていたし、いやもしかしたら日本(北海道)でも良かったのかもしれない。でも自分が思うような飛行は、アメリカ以外では考えられないのが現状だ。
これは、飛行機に限ったことではなく他のジャンルでも同じだと思う。
あの国は本当の意味で地球上もっとも自由な国であることは間違いない。ちなみに自由ということは、みんなが幸せになれると言う意味ではなく、望んだものだけが自分の価値観における幸せを得られるという意味であり、そこらへんの感覚はこの国とは大きな差違があるような気もする。
だから、どう・・ということは別に無いのだけれど。

〜デジタル〜

デジタル○○、、というのがすごい。
思えば、私が行う表現すべてがデジタル経由である。
Web、出版、写真展、映像、、、すべてデジタルを介しての出力だ。
個人表現のスピードとマスコミをスルーするという意味において、
完全な曖昧さの排除はデジタルの革新的な部分であり、
そこから直接くるメッセージや作品は受け手個人に
他者のバイアス無しに直接ヒットする。

近年、デジタル表現における曖昧さの欠如・・
などと、よく言われたりするけれど

厳しい山に入ったり、飛行機に乗ったりするとき
曖昧さは死を意味するので、私は「アナログのあの曖昧さが重要だ」とか
いう人をあまり信じない。曖昧さは、自分の尺度の中で生まれる
揺らぎみたいなものだし、それはあくまでも自分の頭の中での話であり、
最終的なアウトプットの段階において「曖昧さ」はちょっと失礼だと思う。
たぶん、アナログを語る人たちは、道具に酔っているのであり
自分もその昔、アナログなカメラが大好きだったから、それはよく分かる。
(いまでも所有しているし・・・)

まあ、普段の自分があまりにも曖昧=いい加減?なので
自戒の意味もあるのだが。


〜曖昧ついでに、元航空幕僚長〜

このニュースが出てきたとき、
「いろんな人から、質問がくるのだろうな」と少し身構えていたのだが
実際は誰も質問してこなかった。意外だった。

想定される質問は、こうだった。

「自衛隊の戦闘機パイロットも、普段から幕僚長の言っているような事を感じながら訓練しているのですか?」

「すくなくとも組織のTOPがああいう自体になってしまったことに、ショックであると思うのですが、いかがですか?」

「そもそも自衛隊員は何を心の支えにして命を張っているのですか?」

彼のやったことは、この国の曖昧さを露呈した。

そういえば、戦闘機パイロット時代、
カヌーイストの野田さんのエッセイを読んでいて

「自衛隊機が、轟音と共に空を飛んでいる・・・落ちろ!と叫んでみた」

というフレーズを読んだ覚えがある。

ナンセンスでありつつも
自衛隊員のイデオロギーについて
本にしてみると面白いかもしれない。

でも兵士は、語らない。
ただいつでも戦える準備をするのみである。

2008年12月30日火曜日

家探し

最近、ニセコで住む&ギャラリーになる家を探しています。
写真の制作で場所が必要なことと、自分のギャラリーがあれば
もっといろんな人に見てもらえるのに、という理由で。

とは言いつつも、
ニセコは極端に賃貸&中古住宅物件が少なく
数年間探していますが、良い巡り合わせはありません。

自分の活動起点のアラスカ(フェアバンクス)は、
飛行機と生活ができる賃貸ハンガー(オーロラが見える素敵な場所!)
が見つかったのだけれども(写真)、
肝心のニセコは、なかなか良い場所が見つからず。
羊蹄山が見えるギャラリー&アトリエは
いつのことになるやら・・・・

結婚と家(土地)は巡り合わせとタイミング、、と誰かが言ってたっけ。

ここでソローの「森の生活」を開くと、こう書いてある。

「なぜ、若者は、生まれたとたんに自分の墓を掘り始めるのでしょうか?若者は、財産という重荷を相続した途端、手放すまいとし人間らしい暮らしができなくなります」(WALDEN ヘンリー・デイビット・ソロー 今泉吉晴:訳)

こうやって
ソローや鴨長明をしつこいくらい読み返していると
人生に家なんかいらない、テントで十分だ
なんて気持ちにもなるし、
また逆に、長い飛行や冬山の旅から帰ってくると
自分の家やギャラリーが欲しくなってくる。

そして、またこうしているうちに
写真展が始まって、アラスカ渡航の時期になって
そんな事も忙しさから忘れてしまうのだろうけれど。

おまえは、まだ定住するな。
と誰かから言われているようです。

定住と結婚は
ある種の安定を意味するからなぁ。

なにが言いたいのか分からなくなってきましたが
とにかく明日はパウダーを浮遊滑降して不安定を愉しもう。

2008年12月27日土曜日

写真を創る

年末は、

冬山パウダー

写真制作

ニセコのスキー場でパウダー

最初へ戻る

の繰り返しで、
アクティブかつクリエイティブなニセコライフが、最高だね!

とクールに言いたいところですが、
実際の所は、狭いアパートで山スキーと写真とインクと
Macと木材パネルにまみれた泥臭い生活だったりします。
(これがアラスカだと、飛行機にカメラに、お酒?)
写真展を控えて、パソコンとプリンターそして写真と対峙していると
「これが創作の日々というものなのね、、」などと思っています。

創作に関して少し話すと、

本を作るにしても写真を印刷するにしても
最近はすべてデジタル出稿なので、MacとEpsonの大判プリンター
そしてAdobe RGBのキャリブレーションモニターは欠かせません。
写真をやるには、正確な色が出るモニターが絶対に必要なんですが
これがまた20万円もするシロモノで、それを色補正するソフト、機材etc、
そして、より大判の写真を印刷するにつれ、
さらにアラスカ風景用高解像度のカメラを来年あたり準備かなと思いつつ
(ニコンが超フルサイズ級のMXフォーマットを出すらしい、、4000万画素?でもフルサイズ2400万画素のD3Xかα900でもいいかな?)
こうやって機材の研究と出資は止まらない最近です。
(分からない人すみません)

でも、自分の体験を正確に表現するためには
そういう研究と投資は、必要不可欠でもあるんですね。

それにしても、良い時代になったなと思います。
一昔前では、絶対に無理だった個人のカラー印刷や微調整が
自分ですべて可能になってしまうんですから。(しかも満足できるレベル)
映画フィルムのような奥深い写真を目指しつつ、
個人レベルですべてを作り出せる世の中になったことに
喜びを感じています。

これは写真表現に限ったことではなく
様々な創作の世界でいえることだとおもいます。
(超コンサバな世界は分かりませんが)
やろうと思えば個人で何でもできる時代になったんでしょうね。

「なにかをあきらめる必要がない」言い換えれば
「言い訳ができなくなった時代」の到来は大歓迎です。
その言葉の胸底にあるのは
「後は飛び出すだけ」


ちょっと何が言いたいのか分からない日記になってしまったので
最後に、最近読んだ、見城徹氏の本の見出しに書いてある言葉を。

「すべての創造は一人の人間の熱狂から始まる」

2008年12月22日月曜日

ニセコ=日本のアラスカ

というのは、少々強引か?

というのも本日、アラスカ通の知人と
新しくできたニセコのピザ屋さんで話をしたのだけれど、

このピザ屋さんの主人もニセコに来る前は
アラスカでワナ猟やらハンティングやらあらゆる野外活動を
やってきた強者であるらしく、
店内では私を含めた3人で、
アラスカ話のオンパレードになってしまいました。

スピナード通りの日本食レストランの話から、
フェアバンクスのおっかさんの話、
カリブーの出現情報と
そしてビーバー村事情の話まで・・・

ご主人自身で倉庫を改装したという、
すぐれておしゃれな店内の雰囲気と(デートにはうってつけに違いない)
小さな窓から、ちらりと見える雪景色、
そして
ピザ焼窯の薪のかほりで、ここはアラスカか??

と錯覚してしまったのです。

そういえば、ニセコにはアラスカ歴のある日本人が結構いるかも。
他の地域も知っている自分として、確かにニセコは
なんだか同じ北海道でも「異質な居心地のよさ」があるような気がします。

思うに、その土地の印象を決定する要因は沢山あるけれど
もっとも作用するのは「風景」ではなく「人」ではないかと。

「人」という点で、
アラスカも、ニセコもなんだかとても
似ているような気がします。
(アラスカというよりもっと細分するとフェアバンクス、
いやガードウッドかな?)

人生を愉しんでやろう、という意志が感じられる
ニセコに移住してきた人たちに会うと、本当に元気がもらえます。

それと同時に、
「ああ、おれも早くフェアバンクスとニセコに家を建てねば・・・」
と思うのですが。

ということですっかりお気に入りの
このピザ屋さんのInfoです。
↓↓
ニセコアンヌプリエリアのペンション街に本格ピザレストラン
Del Sole (デル ソーレ)



TEL : 0136-58-3535
営業時間 : 12:00 - 15:00 (L.O.14:30)
     17:30 - 22:00 (L.O.21:30)
定休日 : 水曜

Google地図


ニセコに遊びに来たときは、ここで一緒に飲みましょう。

2008年12月15日月曜日

Coyote(コヨーテ)という自然派雑誌に掲載





Coyote(コヨーテ)という自然派雑誌に
私の1ページ記事が掲載されました。
http://www.coyoteclub.net/catalog/034/index.html#

昨日、出版社から本が送られてきたのですが
なんともリッチな感じの本ですね。
本屋さんで見かけたら、記事を探してみてください。
本の表紙は、星野さんが焚き火をしている写真です。

まあ、私の記事はともかく
アラスカ好きの人は手に取る価値はあるかと思います。

あと、

『火を熾す』[1902年版]
ジャック・ロンドン 訳=柴田元幸

を紹介するなんて渋いなぁ、、と思いました。

2008年12月11日木曜日

3連続!写真展開催

来年の1月から、以下の写真展を行います。 
(一部、招待されての出展です)


1.第2回「 ルシャキパル展」

日時:2009年1月21日(水)〜25日(日)
場所:千葉県 佐倉市立 美 術 館
交通アクセス:京成佐倉駅南口より、徒歩8分

*美術展との合同展示です、招待という形で出展します。
会場には、初日だけいる可能性があります。
その他、美術作品や音楽家さんの写真など面白そうな方々の作品も並ぶそうで、なんだか楽しみです。
ポスターの猫が、なんだかふしぎ。

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2.「翼とテントと北極圏」 写真展

日時:1月26日(月)〜2月5日(木)
場所:千葉県成田市公津の杜3-7-21
   「GALLERY 海」

*友人が運営するギャラリー「海」での個展です。
常駐できませんが、実験的な?写真を飾りたいなと思っています。


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大きな画像はこちら
3.「アラスカ極北飛行」写真展
〜翼が見たアラスカ〜

日時:2009年2月6日(金)16時〜2月8日(日)19時
場所:流山市生涯学習センター1F ギャラリーにて 
交通アクセス:「つくばエクスプレス」で「秋葉原」(約30分)
        →「セントラルパーク駅」下車、徒歩3分。
        入場料、大人500円、学生→タダ

*私が主催する関東圏での写真展です。かなり大きな会場で
 大きな写真と映像を展示します。あと写真と本を、販売します。
 最終の日曜日は打ち上げしたいなぁ!
 

なお、3枚目のポスター(2枚目でも可)を貼ってくれる方は、
A2サイズをこちらから送りますのでべたべた宣伝してやってください。

(協賛のご案内もしています

待望の関東圏での写真展示。
きっとアラスカの空を感じてもらえると思っております。

2008年12月3日水曜日

掟破りのカミホロ滑走


昨年のカミホロ雪崩事故を知っているのに滑るなんて・・・!

と思われがちな上富良野にあるカミホロカメットク山ですが
条件が良ければ、どこでも滑ることが出来るんです、

という見本のような雪山スキーを土曜日に行ってきました。

例のごとく写真の羅列で解説です。

春山のような・・・陽気!

汗をかきながら登っています。

知る人ぞ知る安政火口の入り口。
遠くに見えるカミホロ、とても珍しい光景。
(いつも天気が悪くて、視界が悪いので)

安政火口の蒸気がでるなか、登ります。

結構激しいUP & DOWN


右が八手岩、左がカミホロ山正面壁

夫婦岩というなかなかオツな場所で、ラーメン実施

その後、滑降!


すごい
おおきな写真で見てみたい!!

いやはや、どんな場所でも滑ってしまう相棒達に脱帽の雪山でした。
今回の写真を整理しながら、次の著作本に載るパートなどを考えつつ
「やっぱヤマに行くべきだ・・・」と思ってしまいました。

最近、執筆に明け暮れているので・・


しかし、つい最近まではアラスカの空を飛び
いまは日本の山をよじ登るという行為の、なんという不思議さ。

空を飛ぶのと山を歩くという行為は、あまりにもかけ離れているように感じますが
そんな行為が、自分の中に位相差を生んで新たなものが芽生えそうな気もするのです。

まあ、本当は好きなことを全力でやっているだけなのですけれどね・・・

ひとまず写真の報告でした。

さて来週はいずこのヤマへ?

2008年11月26日水曜日

充実黒岳

この時期(11月の3連休)は、冬山の始まりです。

昨年のカミホロ山雪崩事故で4名の犠牲者がでたことに鑑み、
今年は場所を変えて大雪山の黒岳に登ってきました。

黒岳は7合目までリフトで、すいすいといけちゃうのですが



ところがどっこい・・


数m前のメンバーも霞むような猛吹雪。

だがなんとか山頂にたどり着く。


その後、下り一瞬のパウダーのために
アホみたいに長くて太い板を背負って、一路黒岳石室(いしむろ)に。
今夜は、黒岳で山中泊です。


強風に吹き飛ばされないよう、
顔が凍傷にならぬよう、
場所を見失わないよう、
要するに死なないように、

この危機感というか高揚感が
人間を人間たらしめているのだ・・・と
最近デスクワークが多い自分に言い聞かせつつ、
冬の猛吹雪によって覚醒しつつある自分の体を感じながら
冬山を歩くのはいいものです。




なんとか寝床である石室(いしむろ)に到着して暖かい宴会、、
しかしあまりの寒さと疲れで7時にはお開き&睡眠!!


翌日・・
またまた吹雪の中、なんとか黒岳山頂まで戻り
そこから滑りだす・・・・ん?

最初に滑ったメンバーが雪崩の兆候を感じた!ので、
全員スキーを脱いでツボ足で、斜面を降りることに。

そう、スキーで滑ると斜面に与えるインパクトが大きいので
雪崩を起こすことになりかねないため、もっとも安全といわれる
ツボ足で、斜面を下るのです。

あぶない、、な。


ちょうど一年前の11月23日はカミホロの雪崩で4名死んで
その現場にいた我々は、何かを学んでいるはずであり、
少なくとも危険を感じ、判断し、出来る限り安全に行動した
このメンバー1人の行動は素晴らしいといえます。


そうして、
危険地帯を越えた先にあるものは・・・
おいしいパウダー!!









うーん、シーズン中でもなかなか味わえない
胸パウダー(顔パウダー?)

株価に一喜一憂する世の中で、
山の粉雪に浮かぶのは大変愉快なことだ。

死の恐怖と生の歓喜が同居する冬山。

死を斜め後方ぐらいに感じていれば、
納得する生き方が出来るかも。


ちょっと軽い言い方かな?

2008年11月19日水曜日

飛び方は生き方

爆笑問題の日本の教養

という番組がNHKの火曜夜11時からやっていて
これがおもしろい。

爆笑問題が、世界水準にある学者たちの研究所へ行き
いろいろとその学者さんたちに噛みつくのですが(特に太田)、
最近のテレビにはない多くの刺激がこの番組中にはあったりして
目が離せません。

昨日のプログラムは、

“空を飛ぶ”とは、どういうことなのか?人はなぜ“空を飛ぶ”ことに憧れるのか?世界の航空機の設計理論の礎を築いた航空力学の第一人者・東昭に、爆笑問題が迫る

というものだったのだけれど、出てきた研究者は
トンボを捕るのが大好きな80歳のおじいちゃん。
どうやら昆虫の飛び方を研究して航空力学に応用したようで
蝶やらトンボの飛ぶ話が多かった。

太田の「蝶とトンボではなぜ、羽の形が違うんですか?」という質問に
東先生は「それは、生き方が違うからなんです・・」という実に興味深い
回答をしていた。
その後、「飛び方は、生き方」という絶妙なNHKのキャプション。

考えさせられる話だな〜


生き方によって、飛び方を変えてみたい。
羽はないけれど生きる糧として
人間は技術を持てるわけだから、言い換えると

技術は生き方=仕事は生き方

と言うふうにもなるか。


とにかくこういう強烈な番組はウエルカムで
もっと増えてくれればなぁ、と思いつつ
しっかりとお笑いも見てしまう生活、日本っていいですね。

写真家的生活




最近、写真の注文が多い。

先月の札幌写真展から一ヶ月「どうせ誰も買わないだろう」と思いつつも
HPで写真の販売ページを作ったら、
あれま・・有り難いことに結構買う人がいるのですね。

写真家ではない、といつも言っているのですが
写真を売る時点で、ちょっと意識を変えなきゃだめだな、、と
今回の注文を承るようになってから思うのでした。

思うに、写真家とはどういう人を言うのだろう?
と昔から思っていました。

「自称写真家という人間はアラスカによく来るよ、
ボクはそんな人たち100人以上と会っているよ」
と、しろくまの安藤さんから聞いたことがあるけど

photographer、写真家という定義はなんなのだろうか?


思うに、僕が出会った写真家っぽい人は、みんな
外の世界をウロチョロしている行動派であることが多く
そういう人たちは、カメラはどうでも良くて(それは言い過ぎか?)
とにかく興味のある場所や人の所へ行くことを第一に考える。
写真を撮るというより、自分の目を新しい場所へ移動させる
という感じかな。

よく写真家に弟子入り・・とか写真学校入学なんて話を聞くけれど
そういう行動派写真家の友人たちを見ていると
写真術を勉強する前に行動術を学ぶ方が、良いような気がします。
(もちろん写真の師匠や学校では、そういうことを含めて教えてくれるのかもしれないけれど)

まず、動くことから始まるのが写真家であるならば、
そうであってもいいかなと、自分のセンスを無視して思うのでした。

販売写真のレプリカ?載っけておきます。
よろしければどうぞ。
http://talkeetna.jp/autores/photo_order.html

2008年11月14日金曜日

アラスカネイティブビレッジ集

いままで自分の飛行機で飛んだアラスカ村々の
データベースなるものを作りました。

こんな感じで、村の場所と名前を地図で分かるようにし、
村の空撮写真も載せております。























以下の写真のように
右上の選択ボタンで村を選ぶことができます。





















いろんな村に自分の飛行機でいったことを風化させないために
やっと作ったデーターベースで、ちょっと嬉しいです。
(全く関係ない話ですが、いままで使っていたWeb製作ソフト「Go Live CS」がバージョンアップ打ち切りとなり、仕方なく将来のことも考え帰国後から「Dream Weaver CS3」に乗り換えて(購入して)製作した第1弾がこのHPなんです。しかしシステムを変更するのは、体力と気力がいるとんでもない作業です・・・・自営業、独学の辛さ! 外注するほど財力はないし、全部自分でやらなければいけない私っていつまで体力持つのだろうか?と愚痴をこぼす今日この頃です・・・)






















いままで飛行機で何カ所行ったのかを、アバウトに数えてみると
55カ所・・・・でした(赤点=ネイティブ村、青点=その他)
意外と多いのか、少ないのか・・・しかし記録を争うわけでもないので
そんなことはどうでも良く、大事なのは「何を感じるか?」もしくは「生きて帰る」
はたまた「他者にきちんと伝える(このHPや他の媒体で)」ということであり
手段に埋没することの無きよう、日々作業中です。
(ん?何を言っているのか分からなくなってきた・・・二日間ぶっ通しで作ったので疲れています)


まだ基本的な情報しか載せていませんが
これからぼちぼち村の詳細についてUPしてゆこうと思います。
(というか旅の記録ですね)
大事なのは、記録だけでなくストーリー。
そこら辺の味付けは、今後お楽しみに。


さて!ビールを飲みます。

2008年11月9日日曜日

東京滞在

現在、東京に滞在しております。
来年行なう予定の写真展の調整や各種イベント出演に関する話し合い、
そして応援してくれる方々とお会いしたり、、と実に実り多い2日間でした。
実はもうすぐ飛行機で北海道に帰るのですが
今回の滞在で実にいろんな方の、その企画という名の、
やろうとしている事への情熱に触れることが出来て、
普段はニセコの田舎でノンビリ執筆している自分には大いなる刺激となりました。

思うに、こういう情熱に触れていないと
人間ってダメになってゆく、というか、
情熱こそがやはり原動力と再認識するわけで
今回そう思わせてくれた
東京の皆さんには本当に感謝の気持ちで一杯です。
(そして今回会えなかった皆さん、また次に会いましょう)

東京などで、その途方もないビル群の大きさや人の流れを見ていると、
いったいこの得体の知れない動きというか、パワーの源はなんなのだろう?と思うことがあります。
よく無機質の象徴みたいな表現で済ましてしまう東京ですが、
いやいやこの街は、多くの情熱が飛び交うステキな場所なのだ、と
東京でそれぞれの夢を叶えようとしている人達に会うたびに思うのです。

そういう意味で、これからも
全体で語らず、個の情熱に触れていたいな、と思っています。

2008年10月27日月曜日

北海道、秋の沢紀行

素晴らしい秋晴れ、紅葉
10月25日の北海道。


アラスカで黄葉(黄色い)を見てきたと思ったら
今度は北海道で、紅葉(赤い)を堪能。
どこで見てきたかというと・・
北海道の某渓流で見てきました。

渓流を歩く=沢登りという登山の一種は
私の最も好きな夏の遊びなのですが、ここ数年の夏はアラスカに行っており
本格シーズン中に出来ないのが残念なところ。
今回は時期も遅いのですが、相棒を誘って行ってきました。

紅葉を見上げる相棒

中小の滝が現れるものの快適に歩ける、これが楽しい。

途中、イワナを釣ったりキノコを採ったり
これぞ、日本の山河遊びです

歩きながら・・・考える

先月までは、ガソリンぶちまけて飛行機飛ばして、
アラスカ果ての村やツンドラの大地に身を置いていたのに
今は日本の深い森の中で、
自分の足でゆっくりと歩いている、、、この不思議さ。

アラスカの途方もなくでかい自然を空から見た後は、
日本の自然がとても緻密で凝縮された
盆栽の中に存在する宇宙に見える。

遙か北にあるアラスカの自然も大事だが、
身近にある日本の自然は、さらに大事であるのだなぁ・・・。
そんな妙な気持ちに浸りつつ、
それは、自分が日本人なのだから普通の感情なのだと、
濃い緑の森に流れる、冷たい清流の中を歩きながら
極々自然に納得したりしてました。


そんなことを考えていると、
巨大な滝!

人が右下にいます(見えますか)
とにかく大きな滝、大迫力です!
そして最後は、滝下でビールと袋ラーメン。
あ、これビールじゃなくて「第3の・・」だけどね。
(最近、貧乏すぎでノーマルビールを飲んだ試しがない)


帰りは、
柱状節理と紅葉を堪能したり、

エゾ鹿の足跡を探ってみたり。




いやぁ、日本って本当にいい。
毎年アラスカに行くたびに、
その再認識の度合いが深まります。

次の出版は「北海道の自然を楽しむ」がテーマ。
なんだかその製作意欲が高まってきました。

海外に行かなくとも・・

身近なところに
素晴らしいものがあるんだっていうこと

伝えたいなぁ。

2008年10月21日火曜日

スタイル

昨日は、月曜日。

久しぶりに、日本に帰ってきて
自分のことができる一日でした。

でも・・・
HPの整理(まだアラスカ滞在!ってなっていましたね)や
遅れ遅れになっていたメールの返事などのたまっていた事柄を
こなすのに丸一日かかってしまいました。

そういえば、全然関係ないのですが
昨日の夜は中日が阪神に競り勝ち(燃えた!燃えた!・・え?意外?)
CSシリーズの第一ステージを突破しました。
思うに落合監督の采配だけでなく、あの人の生きるスタイルはとてもクールで
(3冠王3度かつ2000本安打達成しているのに名球会入りを断ったり・・)
中日というよりは、落合博光という人間を応援したりしているのですが、
人が誰かに心酔するというのは、スタイルそのものに対して・・
なのだなと今更ながら、思います。

ついでだから、好きな人やブランドを上げてみると

アップル、スティーブ・ジョブス、新庄剛志、池田晶子、村上龍、BOSE、Carl Zeiss・・

現実を見つめつつ、それでもあきらめず何か新しいものを作ろうとしている人は
いいなとおもったりします。とくにスティーブ・ジョブスは凄いと思います。
彼がいなかったら現代は、なんと面白くなかったことか・・と思うのです。
そして彼のやっていることを見ていると、
なにか新しい流れや考え方は、集団ではなく一人の才能が作るのじゃないかと思ったりします。


ジョブスのスピーチ、とある友人から教えてもらったのですが
なかなか良いですよ、ぜひ。↓

(その1)


(その2)

2008年10月19日日曜日

北海道雪崩研究セミナー

北海道雪崩研究セミナーに
写真展の後、気の向かぬままパネリストとして出席しました。

気の向かぬ、というのは
アラスカから帰ってきて猛烈な忙しさに
温泉でも入ってノンビリしたいな・・という意味で。

でもセミナーで前に立って発言すると
そんな気分も一新。

みんな真剣、考えている。

思うに、冬山という遊びが
我々の体験談を聞きに来ている皆さんにとっては
大変に重要な事柄であり、趣味というか遊びを越えた
人生の一部なのだなと思いました。

確かに去年居合わせた雪崩では、4名死んでいるから。


道産子は結構考えている。

北海道の冬は、抜群の面白さがあります。

来年出す予定の「北海道アウトドア本」に
影響がありそうな今回の雪崩セミナー。


次世代に残せる本にしたいと思いました。

2008年10月17日金曜日

写真展終了後・・

やっと札幌でおこなっていた写真展が好評のうちに無事終わりました。
来てくださった皆様、手伝ってくれたみんな
本当にありがとうございました。

最終日は、後片付けのあと
札幌で食事をしてから車で帰宅。
深夜2時頃、倶知安の我が家に到着です。

その後、それまでの睡眠不足を補うように10時間眠りっぱなし。

起きてからしばらくボーッとしつつ、
7月下旬から始まったアラスカ飛行のすべてが、
この写真展終了でやっと終わった・・・

思いました。



しみじみと、思うことは


今年も死ななくてよかった・・




死を意識することは
そんなに悪いことではありません。
何かに対して総力戦で挑んでいる自分に
文句や愚痴の入る余地はないから。





写真展や出版などパブリックなことをやると

「湯口さんは、こっちの方に進むのがいい」

なんて言われることがあります。

でもそう言う人は、
何をもって「こっちがいい」というのだろうか?と
本当に不思議な気持ちになり、
そういうことを聞くと全く逆の方に進みたくなるものです。
やはり、この国では誰かのアドバイスとは
正反対に進む方がいいのかもしれません。

とにかく世界は広く
いろんな人種がいるわけで。


明日は、「北海道雪崩研究会」のセミナーでのスピーチ。
まったく予定外のスケジュールで、準備もかなわず
何を話そうか、思案中。

休めるのは、その後かなぁ。

2008年10月9日木曜日

写真搬入&収録

写真展前日。

今日は、ニセコから札幌駅前まで写真やら展示物の搬入に
行ってきました。

一昨日は、写真展などのPRのために
テレビの収録&インタビュー
(今日10/9、HBCのHANAテレビ17:40ごろ放送らしいです)

思えば、一週間前の帰国から
ずーっと写真とトークイベントの準備に
かかりっきりで、本当に忙しかった。

忙しいというか、狂気の沙汰?
久しぶりに戦闘機時代のあの運用ドタバタモードを
思い出してしまった。
ああいう、忙しさも・・・悪くないけど。


札幌紀伊国屋の2Fのイベントスペースは、2面ガラス張りの
かなり面白い場所で、駅前を歩く人からも視線を感じるような場所です。
アラスカで使ったテントなどをオブジェにして展示としては思いっきり
遊んでいますので(笑える小物も沢山あります)札幌の方はぜひ!


では、今更ながら
明後日の準備をします

明後日のトークイベント(10/11夕方6時から)
もよろしくお願いします。

ホント時間ないなぁ・・

2008年10月4日土曜日

帰国&写真展

ばらく日記も書いておりませんでしたが
いつのまにやら無事に北海道へ帰国しました。

今回は、いままでのアラスカ行の中で
最もいろんな場所へ、最も遠くへ飛んだ
実りある飛行でした。

いや〜飛んだ、飛んだ

というのが正直なところです。
(そして安全に終わって良かった・・・)

報告のメインは、
ブログから徐々に写真展などへシフトしてゆこうと思っています。

帰国後第一弾の写真展をよろしくお願いしますね。

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日時:2008年10月10(金)〜16日(木)
  (トークショー:10月11日(土))
場所:札幌駅前 紀伊国屋2F
※10月11日(土)は、トークショーを同場所、
紀伊国屋1Fスペースにて行います。(*変更になりました)
夕方(午後6時)から約1時間半ほど行います。(参加自由、無料)

「アラスカ極北飛行」で使用された写真をはじめ、
未公開写真なども展示いたします。
また大型モニターを設置し美しいアラスカの映像なども放映予定です。
札幌駅前という大変便利な場所での開催ですので、ぜひお越し下さい。
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大判写真を沢山、私自身もA2大型プリンターを購入し
凄い??写真を続々作成中です。
また大型テレビを搬入して、ハスキーの映像も紹介します。


あと一週間、温泉に行く暇もなく
あわただしく準備しています。

では、写真展&トークショーで。

p.s.
若干名、ボランティアで写真展のお手伝いを募集しています。
(一日だけでも結構です)

2008年9月24日水曜日

圧倒的

最後の旅、ユーコン川の下流から
一気にイリアムナの南を通り、アンカレッジに戻る。

最後の日、飛行時間 7H

本当に長かった今シーズンのアラスカ飛行

満身創痍のフライトで見たアンカレジの南、最後の景色









アラスカは、やはりアラスカだ

語れない、ただ見せるだけ



批評者がたどり着けない場所に身をおこう

圧倒的な景色だけが、不安から身を守ってくれる。