2009年7月31日金曜日

地球が燃えている

ついに7月27日ハスキーによるアラスカフライト開始。
三日間の予定は、冒険気球パイロットの八戸さんを後席に乗せての飛行。
八戸さんにはニセコ&洞爺で気球に乗せて貰っているので
その恩返しというわけでもないけれど
良い写真を撮って貰いたいと思ってのフライトであった。


フェアバンクス離陸後、進路を北へ。
ビーバークリーク沿いにホワイトマウンテンを右に見ながら
ユーコン川を目指す。ビーバークリークは水が極端に少ない。
最近のフェアバンクス周辺は雨が全く降っていない証拠だ。


前方を注視するとなにやら様子が違う。
悪天域か?それにしても変な雲だな。


どうやら山火事の模様だ。
ファイヤーウィードと煙が象徴的、こういう景色には思うことがある。


さらに迂回しつつ、煙の正体を探ると・・・


八戸さん:「湯口君、地球が燃えているよ!」

俺:「・・・・!(絶句)」

その後、八戸さんはEOS5Dmk2の巨大レンズを振りながら必死にシャッターを切り 俺は、火災による気流の乱れに神経をとがらせつつ操縦桿を操作しながら、 やはり八戸さんと同様、NikonD3のシャッターを切りまくった。


この世の終わりか、または再生のための死か。
いずれにせよ、我々の思惟が遠く及ばない世界が目の前にあった。

アラスカフライト初日でこれである。
今後、いったいどうなるのか?・・・楽しみだ。

2009年7月25日土曜日

自由飛行家

How are things going?

ということで
ハスキーの整備がどうなっているか見てきた。

飛ぶ飛行機が絶対に実施する必要がある年検査(Annual Inspection)は
資格を持つ飛行機整備士にお願いするのだけれど、
その検査期間は、だいたい数日。

話を聞いていると、
やはりあちこち、悪いところがあり、その箇所は交換。
いったい幾らかかるのやら、、と思いつつ話を聞き続ける。

以下、整備のJimさん

Jim:「あとは・・・このプロペラ、これは相当古いな。」

俺:「え?もしかして今年飛べないんですか?」

Jim:「いや、それはないけれど、今年の冬あたり交換した方が良い
    普通のコマーシャル飛行機は5年で取り替えるんだけれどな
    あんたのプロペラは・・・」


なるほど、飛行機はやっぱりカネがかかる。
来年はいったい幾らかかることやら・・・
まあ、かかるお金のことについて思い悩んでも仕方がない。
飛ぶためにプロペラは必要なんだからさ。


ここで自由飛行と経済について考えてみよう


プライベートで空を愛しているのに
飛べない人については2種類の人間がいる。

1.技量は持っているが、資金がないので飛べない人
2.資金を持っているが、機会がないので飛べない人


ある程度技量を維持するために飛行するにはお金が必要だが、そのお金を稼ぐためには必然的に働かなければいけないから時間がない。だから週末パイロットを超えた飛行家になるにはそれ以上の何かが必要だ。また、すでにお金がある人は、人生の大半を仕事に費やしているのでなかなか若いうちに飛行ができず、どうしても自由飛行は難しくなる。

じゃあ、お金を稼いで飛べるプロは?というと、その飛行は仕事そのものであり、決められたオーダーどおりの作業であり、プロの飛行は自由な飛行というにはほど遠い。ほとんどのプロは「自由飛行ではなく飛行機を使ったミッション」、「自由というよりは、事なかれ主義の安全飛行」をこなしているだけなのだから。

これは大学生の時にアメリカで自家用パイロット免許を取り、また自衛隊で戦闘機パイロットとして飛んだ自分が気がついたことで、そう言う意味では、そろそろ俺も潮時なのかもしれないと考えながらも、いや、、もう一人の自分は、自分の中での最高峰自由飛行家「狩猟飛行家」の夢を絶対に諦めていない。自分自身でアラスカの広大な猟場へ飛び、極北のブルックス山脈奥地へ着陸、そこから自分の足でさらに山脈奥地の高みに佇む白い羽衣をまとったマウンテン・ゴートを自分のライフルで仕留めるまでは、なんとしても飛行家のまま踏みとどまらなければいけない。



熱くなってしまった。

週末は、陸路でバルディーズに行ってきます。
まあ、飛行機のことは、なんとかなるさ。

2009年7月23日木曜日

再会トンネルマン

約一年ぶりにアラスカのトンネルマンと会ってきた。


トンネルマンとは
アラスカ、いや世界中のあらゆる場所に穴を掘り、
世界の環境動向の実際を知ろうとしている人である。
(要するにアラスカ大学、フェアバンクス校の吉川教授です)

吉川教授、相変わらずのパワー&スピード+行動力である。
昨年、上記リンクのエピソード1しかなかったのに
現在は、すでにエピソード3まで完成させていた。

エピソード2

エピソード3

トンネルマンビデオは
私のDVD撮影を担当してくれたカジ君が吉川教授指導の下
編集制作しているのだが、本当におもしろいし、なんだか勇気がわいてくる。

それは自分たちの住んでいる場所を知ろうとする科学的な探求心であり
子供たちへ向けたビデオでありつつ精神論に迎合しない理性的なふるまいがあり、
そしてなにより、ギャグのセンスがいい。


笑いながら、頭の中では真剣。

これです。
パワーのある人と出会うと、
自分が本当に生きている感じがします。

でも。。。
いただいたトンネルマンTシャツ、どこで着よう?


p.s.
ハスキーは無事、エンジン始動、本日より年点検です。

2009年7月22日水曜日

アラスカの安田山

アラスカの地図をしげしげと眺めていたら、、、

「Yasuda Mountain」という地名を発見した。




もともとアラスカ物語や、ビーバー村で見せて貰った
ビデオ映像などで存在は知っていたけれど、
具体的な場所は知らなかった、、、行ってみよう。


安田山の麓にブッシュランディングで降り立ち、
ツンドラふかふかの上で
その頂を眺めて酒を呑む・・・うーん、いいな。


冒険飛行準備期間中の夢うつつ、
エピソードはまた後日に紹介します。

2009年7月21日火曜日

フェアバンクス快晴、秋近し

朝、6時起床。

太陽の出現とともに徐々に香ってくるスプルースの存在を感じながら、
滞在場所周辺をジョギングすると、屋根にカリブーの角が装着されている
スバル・レオーネを発見。

さすが、アラスカ。

日本だったらこんな車、車検通らないだろう。
(明日、写真アップします)



現在、今週末の飛行開始までにやるべき経路や目的地の調査、
(いったい何日かかるのか?)や
フェアバンクスに来る予定のお友達とのスケジュールあわせなど
なかなか忙しくしています。

行かねばならない場所が多すぎるので、
友人に御同乗を願う可能性もありな感じです。

当方、一緒に飛行したいという方々からメールはたくさん貰うのですが、
こればかりは、運とタイミング次第でどうしようもありません。
どうしても乗せてあげたい人を乗せられなかったり、そうと思えば、
そこら辺の兄ちゃんを乗せてあげたりと、人生は不公平というばかりに
タイミングが勝負、ほんと結婚と同じですね。(でも後悔するかも・・)

ちなみに飛行に関しては、どれぐらいのお金がかかるのかと言いますと、
1シーズン飛行するだけで、軽く3桁いってしまいます。
だからいつ飛べなくなるかもわからないであろう、この遊びも
「今年が最後さ」といつも思っていますが、本当に最後だと未練は大ありです。
一緒にとんでもない場所を旅してきた相棒ですからね。

でも・・

DVDの解説を読んでいただけたらわかるのですが、


夢はいつしか終わり、挑戦はいつまでも続く。


アラスカにいて、夢終わった人の話なんか聞いたりすると
俺もそろそろ、、次の挑戦ですか?

などと思う最近です。


飛行まであと数日、
フェアバンクスには徐々に秋が訪れつつあるようです。

2009年7月18日土曜日

今年のフライト場所


今シーズンのフライト場所、決定。

ちょっと見にくいけれど、
地図の飛行機マークが飛ぶ場所です・・・・



いったい何カ所あるのだろうか?
数えてみると・・・80箇所!!

おもしろかったり、読めなかったりする名前があったりする、
いくつかリストアップしてみよう。


Noatak(ノアタック)→これはノアタック川にある村だな・・
HolyCross(ホーリークロス)→丘の上に十字架あり
Kivakina(キバリナ)→実は、シシュマレフより海没の危険性ありという噂
Kaktovik(カクトビック)→アラスカで一番北東にある北極海の村、場所を知って唖然!
Igiugig(イギ・・・なんて読むの?)
Platinum(プラチナ・・・が取れる場所かな?)
Good News Bay(吉報湾)
Nikolai(完全にロシア名)
Chalkyitsik(これも発音不明)
Nightmute(都会の喧噪を忘れたい方はぜひ)

地名をGoogleに入力して検索すると
場所が、どこにあるかわかります。


もし、私がこれからアラスカに永住できたとしても
こんな飛行機による旅行はあり得ないでしょう。

旅の記録をお楽しみに。

2009年7月17日金曜日




フェアバンクス、二日目。

いろいろと飛行に関する準備をしつつ、
その他でもアラスカらしい体験をぽつぽつしています。

1.お世話になっているお宅で、サーモンの解体作業×5
2.エゾシカで鍛えたハンティング知識?でアラスカの銃砲店へ。
3.朝ご飯がアラスカのKサーモン焼き&取れたて無農薬野菜という贅沢。


飛行前の微妙な時間ながら、楽しいことが押し寄せてくる
やはり・・これがフェアバンクス生活です。

いいな、やはりここに住みたい。



そうそう、、、今回の飛行ルート。
昨年を遙かに超える!!かなり壮絶な感じです。
南東アラスカとアリューシャン以外のアラスカは
征服ではないかという勢い・・・

えっ?こんなところも?
あんなところも?
そんな村の名前、聞いたことないんですけれど(→ほとんど)

知る人ぞ知るカクトビック、アークティックビレッジから南西アラスカは
???な場所ばかり。かなり文化的に異質な村もあるようです。

これは、かなり貴重な体験になるに違いありません。
たぶん、人生で一度あるかないか・・・


ハスキーは、昨日充填したエアも漏れておらず
なんとか大丈夫な模様。
初回飛行までは、一週間あるのですが淡々と準備して
冒険飛行に備えたいと思います。

アラスカ全土の航空地図を見ながら武者震いの続く毎日です。


写真:ハンガー内にあるハスキーと翼下の「野営飛行舎」オフィス

2009年7月16日木曜日

フェアバンクス到着

7/14午後
アンカレッジから、ジェット機でフェアバンクスへ。
アラスカでは滅多に旅客機に乗らないので
高いところから見るアラスカの風景が珍しい。
ハスキーで飛んでいる景色の
8倍ぐらいの高度で景色を見るのだけれど、
やっぱりアラスカの淡い景色には、とても感動する。

空中からの景色はそうとう見慣れていて
珍しくないはずなのになんでだろう、
やっぱりこの景色だけで
アラスカに住みたいという決意が沸々と出てくる、
これがアラスカの末恐ろしい魅力なんだろうか。
早く飛びたい、
日常的に飛行機のそばに住んでいたい、という思いが募る。

アラスカ山脈を越えてネナナに出ると、小さな山火事が二つ。
その後、どんどん視程が悪くなって地面は全く見えない。
高度を降ろしている状態でこれだから、
かなり飛行場も視程が悪いのだろう、
パイロットは、視程1マイルとアナウンスしている。
案の定、視程が悪いので着陸がIFRになり
飛行場が混んでいる模様、
15分ほどのホールディングをしている、
窓の外はミルクの中のような景色。
3年前、一人でアンカレッジに来たときに遭遇した
ネナナの山火事を思い出した。
山火事は、アラスカ内陸部の風物詩みたいなものだろう。

その後、着陸、アラスカを一緒に飛びまくって撮影をしてくれた
相棒カジ君が迎えにきてくれる、
カジ君は変わらず元気そうでなにより、
再開できたことがとても嬉しい。
ひとまず制作したDVDを一緒に見てもらいながら、
昨年の厳しい極北フライトを二人で回顧。
「このシーンは大変だったよなぁ、、、」
とかいいながら意気投合、
本当にこの映像をDVDとして世に出せて良かったと思った。
DVD「アラスカ極北飛行」は、かなり厳しい撮影フライトの
集大成だったりするんです。
カジ君とは、今年も一緒に飛ぶ予定、楽しみだ。

Nさんの家に戻って、リラックスさせて貰いながら時差ぼけを回復。
お世話してくれる人がいるというのは、本当に幸せです。
翌日、ハスキーのおいてあるハンガーへ、
ハスキーは左のタイヤの空気が抜けていて、
パンクか?やばいなぁ、、、と
思ったけれど近くの整備士の方に
空気入れを借りて何とか対処、大丈夫そうだ。
これから年整備と保険の加入、
などなど飛ぶための準備とお金の支払いで
時間がかかるのだけれど、
ひとまずハスキーは元気そうだったので安心、
ハンガーにたたずんでいるハスキーを見ながら、
なんとかこの飛行機をずーっと飛ばし続けたいものだと
将来のことについてしばし考えてしまう。

やはり自分はパイロットなのだ、そして飛んでなんぼ。

いろんな方々の手助けで、現実の困難をなんとか乗り越えて、
いままで何とか飛んできたけれど、
そろそろ具体的に事を進めなければ・・・先はない。

とかなんとかいいつつ、もちろん具体策は何もなく
今年もただただ飛ぶのみです。

「好きなことやっていれば、なんとかなるさ・・・」
(→自著の最後の台詞)

ああ、なんと刹那的な生き方、今年も飛んできます。

2009年7月15日水曜日

アンカレッジ・ターミナルにて

現在、アンカレッジのシーリングは5000ftぐらい、曇り空。

フェアバンクス行きのアラスカエアライン・ターミナルで
銀色むき出しのJALカーゴ機やNCA機なんかを眺めながら待ちぼうけしています。日本の飛行機をこんなところで見るのも悪くないもんです。
もしかしたら、FさんやMさんが飛ばしている機体だろうか?

台北からのフライトは順調に9時間飛行、
あまり眠れなかったけれど時差ぼけなく快調。
なにより入国は非常にスムースで気持ちが良かった。

そうそうANC着陸時、飛行場の待避用芝生にfireweedが咲き乱れていました。
「そうかぁ、そんな季節なんだな」と早く自分の飛行機でアラスカの絶景を見てみたくなりました。

いままではアンカレッジ拠点だったのですが、今年からはフェアバンクスに
ハスキーをおいてある関係で、そのままフェアバンクスに直行。
急遽渡米延期の関係もあり、早く飛行機の整備をしなければならずそのままフェアバンクスに行っちゃいます。
アンカレッジでは会いたい人たちのところに立ち寄る時間もありませんが、またハスキーで飛んできますね。

9ヶ月もハンガーに放置してあるハスキーは生きているだろうか?
あと、去年ゴミ捨て場から拾ってきて作ったハンガー内にある
「オフィス野営飛行舎」Fairbanks支部はホコリかぶっているのかな?


今年でアラスカも4シーズン目ですが、まだまだ飛び足りないアラスカ大地。
自分の中にあるアラスカの空白地帯を埋めるべく自由と彷徨の極北飛行を
たっぷりレポートしてゆきたいと思います。

2009年7月14日火曜日

熱気の街、台北より

今年もアラスカ入り前に台北にやってきました。
目的は、エネルギー補給。





北へ指向する前に、亜熱帯の国で
汗をかきながら賑やかな熱帯街を練り歩き、
そこら辺の屋台に一人飛び込んで
店員に
「なにかうまいもん、ちょうだい」
といって台湾ビールをゴクゴク飲む。

これをやると、アラスカの誰もいないツンドラで
思索にふけるのがバカらしくなります。

「よお、兄さんよ、まあ難しい顔しないで、
とりあえずうまいもん喰って、汗かいてビール呑もうや」

と隣のテーブルで大騒ぎしているおじさんがそう言っているようです。

美味しいものを凍える心配のない場所で、
のんびり食べたりすると、悩むわけないよな・・・

ぜひ極北に旅立つ前にお試しを。
アラスカの魅力がある意味、2倍になります。


明日は、9ヶ月ぶりのアラスカ入り。
飛行機を飛ばすための諸手続で忙しくなるのを覚悟しつつ
台北の夜をもう少し楽しみます。

2009年7月12日日曜日

明日からアラスカ出発です

出発間際なのに・・・こんな危険な川に行ってしまったので



おかげで岩に2回激突、目の上出血で試合後のボクサーみたいになりました。
アラスカでも腫れた顔をしていると思いますが、驚かないでください。
(助けてくれたNACの夢さんありがとうございます。黄色いカヤックが私)
激流カヤックは、危険な岩登りリードの次に怖い遊びです。


明日、アラスカ出発、7/14に到着します。
今年もたくさんのフライト&アウトドアが待っていると思うと
楽しみで仕方ありません。
いろんなアイディアがありますが、創造的な旅ができると信じています。
イヌイットの村訪問に始まってハンティングとカヌー、
北極圏ブルックス山脈あたりのトレッキングに・・・・

それらを飛行機と絡めて遊んできます!!(いや仕事、仕事)

でも、もちろん北海道のような危険な遊びはしません、
飛行機なんて、、、安全安全!!

危険な北海道の遊びメンバーから離れられると思うと、
ちょっと安心なアラスカの旅です(笑える・・話だ)

では、またアラスカからご報告しますね!

2009年7月9日木曜日

「動物行動学」

アラスカ準備で四苦八苦・・
来週の月曜日出発です。でもまだ何にもしていません、いつものことです。


準備1.伸びに伸びきっただらしない髪をザックリ切り落として短髪に、やはり男はスポーツ刈りだ。

準備2.所有している2丁の散弾銃を石狩の銃砲店に預ける。店長に最近の熊が冬眠しない理由などを聞いて、なるほど・・・・と思う。要するにエゾシカが増えすぎて冬眠する必要がなくなったのだ。あと店にいたお客さんに「アラスカですか?いいな、ブラウンいるでしょ」と聞かれてブラウントラウトか?と一瞬思った自分が恥ずかしかった。もちろんブラウンベアのことである。

準備3.一年間酷使したD3とD200、HVX200をメンテナンスに。ついでに壊れた三脚の修理確認も。一般写真家では、考えられないカメラの使い方をするので本当によく壊れないものだと感心する。ちなみにビデオのP2カードが32G増えて、合計48G、これで53分のスローモーション映像が撮影可能に。カジ君は喜んでくれるだろう。

今日のトピックとして、
特に鉄砲屋さんで聞いた店長さんの熊の話は、面白かった。

「熊は、冬眠前に一度凍ったしわしわのヤマブドウを食べるのだけれど、それは冬眠中に糞が出ないように「つっぺ」するからなんですよ、でも最近そのヤマブドウを食べたあとに増えすぎたエゾシカも食べちゃうから、下痢しちゃって穴の中でおとなしくできずに、外に出ちゃう。それが冬眠しない熊なんです。」

なに?それでは冬期の狩猟期間中でも熊がいるということでは・・・?


午前中、倶知安の床屋さんで聞いた猟友会会長さんの話も面白かった。

「湯口君、オス熊は母親と一緒にいる子供の熊を食べることがあるんだよ。それは子供を喰われた母熊が発情するというシステムがあるからなんだ」

「湯口君、知床の熊は、赤っぽくなかったかい?色がついている熊たちには理由がある、それは地形的に密集している場所での交配で血が濃くなった結果なんだ、要するに近親相姦が多いんだよ」

「広い土地を自由に動き回る熊は真っ黒だ、でも狭い土地で生きざるを得ない熊は色つきだ、よく覚えておくんだよ」


なんと、どれも人間社会に遠からず・・・の話である。


「動物行動学」という学問がある。

自分はこれに昔から興味があった。要するに動物も人間も同じ基準で行動するだろう、という考えが心の奥底にあったからだ。

で、狩猟はその学問の頂点にある行為だと思っている。
(これは気象予報士よりパイロットの方が気象現象を知っているというのと似ている)

動物を知ることは、人間を知ること。
動物を知ることは、自然界を知ること。
動物を知ることは、おのれを知ること。


狩猟界へのいざない・・・ですな。

2009年7月6日月曜日

「DVDアラスカ極北飛行」の正しい鑑賞法

「DVDアラスカ極北飛行」は、
DVDプレイヤーとテレビの接続次第でかなり画質に変化が出てきます。
(まあ、これは他のDVDソフトにもいえるけれど)

まず、DVDプレイヤー後ろの端子をみてください。

端子に

D端子(D1かD2)

があれば、迷わずD端子ケーブルで
テレビ側のD端子に接続してください。

よくあるS端子や黄色いビデオケーブル端子で接続すると
DVD映像がチラチラして、なんだか見にくいです。

大型の液晶テレビを持っている方でも
D端子のケーブルを使っていない方はかなり多いので
もしそうしていない方は、絶対に電気屋さんでD端子ビデオケーブルを買ってください。

DVDとはいえ画質が全然違いますよ。
(もしくは上記がない場合、PCで見た方がキレイな場合もあります)


そのうち(今年中)にはブルーレイ販売も考えていますので
ぜひぜひ!(ちなみにブルーレイはHDMI端子です)


そういえば、、、この日記を読んでいる人でブルーレイ・プレイヤー
持っている人はいますか?

もしいたら、メールくれると嬉しいです→市場調査!

人にアドバイスをもらってはいけない

前回の写真に続き今回は、動画の話。

野外活動撮影に適した動画となってくると、
写真とは全然お話が違ってくる。

防水性とか、携帯性とか・・大事だけれど
あまり関係なし。

もっと大事なのは、映像そのものでしょう。
(もっと詳しくいうと映像の記録方式)

写真は、1枚1枚が完結しているので、すでに
そのシチュエーションにいれば、
誰が撮ってもある程度の絵は撮れるのですが
(だから写真は、技術ではなく行動力!+ちょっとのセンス)
動画はそうはいきません。

私の例を挙げてみると、

アラスカ最初の2006年、空撮映像を撮ろうと考えて
あるプロダクションに勤める友人の薦めでSONYのHDVテープ規格の
フルハイビジョンカメラを15万で購入。

フルハイビジョン、SONY、小型

の3つのうたい文句でで買ったカメラだったけれど・・・

空撮には、まったく不向きなカメラであることが判明。
(早速、ヤフオクへ!)

帰国後、編集しながらひどく乱れる画像を見る度に・・・なぜだ???
と悩んでしまう。原因はPCの熱問題か?と思いながら冷やしたり、ハードディスクを高速なものに買い換えたりしていたのだが・・・
自力で色々と調べてみると、全然そんなことは関係なく。

HDVの記録方式であるMpeg2という規格に問題があったことが判明。

Mpeg2という映像圧縮規格は
「速い動きや空撮のような画面全体が動く(パン)映像では大きく乱れる」のだ。

原因は、圧縮率の高さ。DVテープ一本で1時間もハイビジョンが撮れるなんておかしいと思わなければいけない。空撮動画においては、「高圧縮率=悪」と考えなければいけない。(ビットレート=高が重要)
あとインターレース(i)かプログレッシブ(p)か?ということも大事。

で、結局DVC PRO HDという記録方式のプログレッシブ規格に落ち着くわけだけれど、この機材がべらぼうに高額!!だけれど泣く泣く購入。
とここまでを知るのに数百万円の投資と1年間の代償。

大事なことをしようとするとき、人にアドバイスをもらってはいけません。

自分の用途にあった機材を自分で必死に調べないと、大事な資金の無駄遣いとなります。ネット上のクチコミやソニーだから大丈夫だろう(笑)とか他人の言うことは、もっともらしいですけれど、真剣に考えている人はそんなにいません。ほら自分の仕事だって、やっつけ仕事で真剣に考えていないんだから(俺のサラリーマン時代はそうでした)

でもカメラだけでなく、世の中の大半の事柄は真剣に考えることもなく
なんとなく、、ですんでいることが多いよね。それが今日のお昼のメニューとかなら問題ないけれど、自分の生き方とか納得したいことは、真剣に考えれば考えるほど、自分の考えで大事にやりたいと思うんです。
それは、本当に大変なことだけれどもね。

野外行動派カメラ考






DVD製作で微妙な時間を過ごしているのでカメラの話でも。

野外活動家にとって記録するという行為は
とても大事なことだ。

すごい風景や感動的なシーンを皆さんと共有するために
写真と動画で記録するわけだが、世に出すものを作ろうとするとき
撮影機材の選択はひとつの鍵となる。

まずは写真機に求められる性能について書いてみる

1.防塵防滴性

まずは、これだろう。水場のしぶきや突然の雨でもびくともしない強靱なシールが施されているカメラが必要だ。冬山の結露したテント内で一晩過ごすという最悪な状況でも「故障しない」ことが条件。本当は、シーカヤックなどのために、水の中に落としても大丈夫なカメラが欲しいのだが、、、ニコノスデジタル出てこないかな・・・

2.高速連写性能





動きもの、特にスキーやスノボをとるときに重要な機能。光学ファインダーで追随しながら撮れることが条件で、これはもう一眼レフしかない。秒5コマが最低条件だけれど、それでは微妙・・・本当に使えるシーンを撮るには、10コマが欲しい。

3.携帯性

小さい方がよい、うん確かに小さい方がよい。持てる機材は限られているから。

4.高感度性能




アウトドアや飛んでいるとき、「ああ、なんて素晴らしい景色なんだろう」
と思う時間帯は、たいてい早朝か夕方である(逆に言えばそれ以外の日中は、よほど面白い景色がないとダメダメ)しかしそういうときは、光量が少ないので手持ちで撮ると手ぶれを起こす。
行動が基準のアウトドアで重いザック背負ってスキーはいているときや、切り立った崖や流氷の上、カヤックの上では三脚を出すことはできないので(三脚を使ってじっくり山で写真を撮るのは、写真だけをやりに来ている人である)ここで高感度性能が必要になってくる。

落ちたら死んでしまうような場所で、さっと感度を上げて撮影!
信じられないような景色というものは、三脚つかえない危ない場所にあるものです・・・(あとテントの中の宴会シーン!!→高感度必須)

5.信頼性

1.防塵防滴性にも関係してくるのだけれど、これは総合的な信頼と言うこと。AFがしっかり使える、シャッターが切れる、そういう基本的なことがどんな場所でも普通に出来るということが大事。

6.画質(素子の大きさ)

アウトドア→風景→広角がほしい→フルサイズ素子がベスト

小さな素子使って(APS-Cとか極端に言えばフォーサースとか)パンフォーカスを簡単にするっていう考え方もあり。でも使ってみると・・・フルサイズはすごい。素子の大きさは高感度にも有利だし。

逆に動物撮影などの望遠系は、素子が小さい方が有利。
俺は、ひたすら待って動物を撮れない人間なので・・・・逆に追っかけて撃つほう??

次回は、ビデオカメラ編です

2009年7月3日金曜日

「きれいごとだけどさ・・・」

昨日の夜に新宿の地球探検隊で行われた
「アラスカ極北〜」の上映会が無事終了しました、と
探検隊スタッフのbetty涼子から連絡。

定員20名のところ、30名の参加者だったらしい。

早速送られてきた本&DVDの注文と感想が書かれたFAXを見ながら
自分がいなくても、作品は一人歩きするもの、と思ってしまった。

関東初上映会を行ってくれた地球探検隊には感謝。
betty涼子からメールにはこう書いてあった。



参加者 30名

1週間の告知でこれだけ集まっていただいたのは
嬉しい限りです。

なんか、最近自分がやりたいことは、全然お金にならないんですけど、
それでも、アラスカやユーコンの大地を知ってもらう機会をつくれたり
「お話きいて、ぜひ一緒に旅したくなりました」と言ってもらったり

人はお金だけでなく、いろんなものをいただいて、生きているのだ、と思います。
きれいごとだけどさ・・・



「きれいごとだけどさ・・・」

これだけいろんな価値観がありそうな時代で、
盟友にこんなセリフを吐かせてしまう世界を呪いつつ、
楽しいことは儲からない、逆にお金になることは楽しくないのさ、
と思ってしまった。

すぐお金になる仕事は、たいがい退屈だ。

お金になることは、すでにシステム化されて大事な想像力は奪われている。
お金を基準に考えてゆくと、創造的で面白いことなんかひとつも出来なくなる。

うんぬん・・・

とアラスカの体験をDVDと本にしても
まったく食えていない自分にとって
これも一種のきれいごとなのだけれど。

DVD解説を見てもらった人は書いたから分かると思うけれど、
こんなきれいごとが言えるのも、あとすこしの間、
数年後アラスカの翼が無くなれば、羊蹄山の麓でジャガイモ掘りかもしれない。
(決して農家の婿養子ではありません)

だが自分で考えたきれいごとは、それを努力して守る価値が十分にある。
たとえそれが、相当難しいことでも。


映画翻訳家の戸田奈津子さんは、映画翻訳をするために20年も
他の仕事をしながら、ひたすらポストが空くのを待ち続けたという。
その過程で、どのような御苦労があったかは分からないが、
彼女は自分の中の譲れない「きれいごと」を20年かけて昇華させた
ひとりの女性であることは間違いない。

2009年7月1日水曜日

アラスカ出発日の変更

昨晩、義父の葬儀を行った仙台より戻りました。
本当なら昨日アラスカに旅立っている予定でしたが、
いろいろとあってアラスカ行きを2週間ずらしました。

故人が、何らかの理由により引き留めてくれたのではないか?
と思います。

誰かが旅立つと思い出す風景は、

5万フィート上空の半宇宙まで上昇したときに見た、
まるい水平線に少しだけ顔を出す一度沈んだ太陽と
それを取り囲む宇宙の漆黒。

冬山でも空でも海でも動物でも、印象的な風景を見ると
人間はどんどん信心深くなるような気がします。

  *

仙台では、故人を見送ること以外にも
大手術を耐えたF2パイロットの友人に偶然出会えたり、
JALのCAとして世界を駆けめぐっている義理の妹の話を聞けたり、
なんだか出会いに充ちた日々となりました。

出発まで約2週間、時間ができたので
DVDの増産とアラスカHPの充実に時間を注ぎたいと思っています。


今回いろいろと気にかけてくれた皆さま、どうもありがとうございました。