2007年9月17日月曜日

オーロラ夜間飛行と死

オーロラの降りそそぐ空を飛んだ

それは8月の終わり、
フェアバンクスから
20マイル北の空

離陸とともに
自分の翼下が
フェアバンクスの
オレンジ色で補完されてゆく。

暗夜の海の小さな灯り。
街を外れると、
自分以外のものはすべて真っ暗。

怖いと思う。
アラスカの空を飛んでいて
初めて気味悪かった。
飛行機の計器は3つ壊れていて
そのうち、姿勢指示器は完全に故障。
カネがもったいないから直さないが、
それはなくても飛ぶ。

死というものを少し意識する。
きっと自分が、おかしくなったら
この飛行機は落ちて僕は死ぬだろう。
夜に姿勢がわからなくなって死んでいった
パイロットは沢山いる。
正常であるという言葉は
こういう状況だけで使用される。

人間の生命力が一番活発な時、
それは死を意識する時。
これは間違いない。

安全でとりあえず、、という場所で
スマートに遊ぶ知識人より
崖っぷちで死にそうなことをやっている
クレイジーな貧乏人に興味がある。
そこにあるのは真実だと思う。

オーロラは、完璧だった。
ハスキーの透明天井に映るブレイクしたオーロラは
空間の上下を僕に伝える媒介であって
観賞用ではなかったが、でも美しかった。

深夜3時ごろ着陸。
帰宅後、ウイスキーを飲んで
鴨長明の朗読を聞く。
とても不思議な感覚におそわれる。

小さな達成感、疲労、孤独。

たぶん死ぬまでこんな感じだ

2007年9月13日木曜日

日本の自然へ

昨晩、無事帰国しました。

前回もそうでしたがアラスカから北海道に戻ると
両者はとっても似ているような雰囲気なのに
実は全く違う土地なのだなという印象を受けます。

空から眺めると北海道は人がたくさん住んでいます。
日本の中では、広大な大地というイメージがありますが
アラスカと比べると、かなり人が
野山に進出して生活しているのが分かるのです。

僕は空から見たアラスカを表現するのに
「神のお作りになった箱庭」
という表現をするけれど、北海道は
「人が作った箱庭」
のような感じを受けます。
もちろんよい意味で。

アラスカの素晴らしさを知ると、さらに別の観点で
日本は本当に素晴らしいところだと感じます。
日本の自然は、生活密着型の身近なものとして
人と深く溶け込んでいて
それがおいしい食事や
日々の快適な生活に表れているのだなと。

手付かずの自然はワイルドで魅力的。
でも日本の自然は
それではないような気がします。

「日本人の生活そのものが自然」
であると思うのです。

帰国後さっそく
羊蹄山の見える温泉に浸かり
ニセコの生協で、刺し身を買い
絶妙な飲み口の日本酒を飲みながら思うことは
そういうことなのでした。

最後に、
今回の旅でお世話になった方々
本当にありがとうございます。

アラスカで感じたこと、
皆さんに出会って初めて知ったこと
その他すべての魅力を
写真、映像、文章で精一杯日本に伝えようと思います。

「何か」の中に・・



(9月8日の記事です)

早いものでアラスカ滞在3ヶ月は
嵐のように過ぎ去りました。
今晩帰国です。

今シーズンすべての撮影飛行が終了し
ほっと安心、新しい試みを数多くしたので
正直心配でしたが本当によかった。

今年は短い滞在だったけど
突っ走ったように感じます。

なんだか分からないけれど
時間がないから
真剣に見ようとするし
真剣に向き合おうとする。

人生も同じなのか
死ぬまでの時間を意識すること
に似ているとも思います。

時間がない・・と思うと
あせるのではなく
真剣に楽しもうとする。

氷河の上などを飛んでいて思うことは

「このまま、エンジンが止まって氷河に突っ込んだら
僕は後悔するだろうか?」

なんてことです。

「死んでもいいと思える何か・・」

不謹慎かもしれないけれど
そんな「何か」の中に身をおきたい。

情熱という名の手法

(9月6日の記事です)

3泊4日でフェアバンクスからハスキーで連れてきた
カメラマンの友人とアンカレッジ氷河や自然と
ハスキーの撮影合宿が終わりました。

彼がフェアバンクスへ帰ったあと
あらためて撮影映像を見たのですが
恐ろしいほどの質感と色合いをもって
アラスカの自然がしっかりと動画で
表現されていました。

動画というよりは、すでに映画の1シーンで
あるような意味のある絵。

今シーズンは、自分でカメラを回して
アラスカの映像を撮ることは
大変難しい(技術的なことを含めて)
なかば映像製作はあきらめていました。
しかし出会いというものは
その人の人生を変えてくれるもので
あきらめるどころか、彼の撮った映像を見て
アラスカ飛行に関する何かができるのではないか?
という可能性と映画製作という将来の夢を感じたのです。

カメラという自分を表現する手段と
それに関することなら
誰にも負けない情熱を持っている彼を
僕は、ハスキーに乗せて
アラスカの大自然を撮ってもらいました。
上空で片時もカメラを離さない彼を見て
情熱のあり方などを感じたのです。

僕は、その人の性格などよりも
その人が何をしようとしているのか?
に興味があります。
何かをしようと必死になっている人は、どんな状況でも
絶対にエクスキューズせずまわりにアホだとか言われても
勢いでなんとか中央突破する。
その突破力みたいなものを見ていると
とても勇気づけられる。
すなわち・・
ちょっと無謀な情熱だけが
僕を元気にし
夢を与えてくれるんだと。

彼の映像は日本で
大画面を使って皆さんに見せたいと思える出来です。
あとはなんとか
うまく編集して仕上げるつもりです。

写真も文章でもそうですが、
表現なんて何でもよく
その時に一番伝えやすいものを選んで皆さんに
見てもらえればよいと思っています。

でも、結局手段いかんに関わらず
伝えなきゃいけないものは
「情熱」なんじゃないかと

情熱さえ伝わってくれば、
それがどんなに下手な手法でも
僕は、その人を好きになると思うのです。

最後の宝石

(9月5日の記事です)

夕方、アンカレッジの夕日が
急に美しくなった。

フェアバンクスから連れてきたカメラマンの友人と
急いで近くの野っ原飛行場に飛んだ。

飛行場に友人を降ろして
すぐに離陸、夕日を飛ぶ僕を
彼は一生懸命撮ってくれた。

帰りは、真っ暗で
野っ原飛行場は何にも見えない。

でも離陸ならだいじょうぶ。


帰りのアンカレッジ、夜11時。


夜景は宝石・・のよう



タメイキひとつ



こんな景色を
いま生きるのがつらい
と思っている
すべての人に見せてあげたい。


帰ってきて確認した映像は
たぶん、、
いろんな人を救えるなんて言ったら
大げさかもしれないけれど
すごく感動的な絵だった。



神様は
辛かったり、やるせないとき
きっとその人がどうしようもなくなる前に
ちゃんと大切な出会いを与えてくれるんだと思います。


アラスカを
去らなければいけない直前に
ありがとう。

フェアバンクスから帰ってきました

(9月3日の記事です)

フェアバンクスから戻ってきました。

約2週間の滞在

おもしろかった・・

以下がやってきたことです

1.ハスキーで秘湯巡り、アラスカに温泉?ちなみにチェナではありません

2.ハスキーでユーコン川のほとりに着陸、のんびりした

3.車で友人とその愛犬とダルトンハイウェイを北極圏デッドホース終点まで北上。
ブルックス山脈で動物多数、途中のキャンプでは爆発的なオーロラが皆既月食と一緒に!

4.ハスキーでオーロラをついに見た。
空を飛びながら見るオーロラはなんか不思議な感動がありました。やってみたかったんです。

5.ハスキーで道路のアクセスが不可能、
でも地図には記されている温泉を捜索し3ヶ所を発見。来年の探検場所に決定する。

6.フェアバンクスのみんなと飛んだ。
地元の友人に空から色々と観光案内してもらった。

7.素敵な親友ができた。


十分過ぎるほど
やりたいことが出来て
もうすぐ帰国だけれども
寂しさはありません。



でもやっぱり寂しい


帰国まであとわずか
悔いの無いように飛ばなきゃ。

そんな時間を過ごしたい



(8月19日の記事です)

今日は、怪しいけれども
なんとか飛べる天気だ。

無風の中を東のチュガッチへ向かう。
山に雲はかかっているけど、
なんとかなるさ。

後席の友人に操縦させる。
フラフラしつつも
けっこう上手だな。

しかし・・
いきなり飛行機の操縦なんかしたら
その人は、どんな気持ちになるのだろう?
いつもと違う自分を
発見してもらえたらいいのだけれど。

そんな空の上では
その人の本音というか本当の姿がわかる気がします。
たぶん、地上の雑多な事を
空の上では考えなくてよいから、かな。

そんな二人っきりの本音トーク、
もしくは景色を見ているだけで言葉のいらない時間。
一緒に焚き火の炎の揺らぎを見ているときの
感覚に似ているよ。

たぶんフネもそんな感じかな。
動くこと、空や海の上に浮かぶこと
そのものが
満ち足りた時間。

そんな時間を
ずうっと
仲間とともに過ごしたいな。

夢のつづき講座

最近、こんな歳になりつつも
まるで高校3年生のように
自分の将来のことなどいろいろと考える毎日。

自分のもつ
「好きなことをなんとか、たぐり寄せたい」
という
なんとも面倒くさい性格は
悩みの種だったりもする

そんな自分に少しばかりの光を見せてくれるのが
同じ考え方を持って行動する友人たち。
ちょうど同い年ぐらいの人たちが多いのだけれど
彼らもまた同じように悩み苦しみつつ
ぼんやりとでも目標を追っかけている。
30歳を超えてからいろいろと考えて
世間の庇護から飛び出してきた人たち。
日本人では、結構貴重な存在だ。
少なくとも僕のまわりでは。

人を強引に二通りに分けると
「あえてしないタイプ」
と「敢えてするタイプ」
がいるような気がする。

その「敢えて(無謀と思われることを)するタイプ」
というのはだいたい苦しむのを分かっているのに
やっぱり苦しんでいる。
それでも、やっぱりそうするのは
なんだか、やらされているような人生を
何とか変えたいから、だとおもう。

実名を挙げて
応援の言葉を送りたい人がいっぱいいるけれど
彼らは、今も必死に頑張っているのか?

そんな人たちのため、そして自分のために
ちょっとしたコーナー を作りました。

夢のあり方についてを
テーマにしてゆくつもり。
どんな受け止め方をされるだろうか?

夢のつづきはアラスカで・・

(8月14日の記事です)

この5日間、ガルカナ川という場所へ川旅に。
フェアバンクスの友人達と合流して
全て川でのキャンプ5日間。

夢ではないか?と思うような
アラスカの美しい川を旅できる喜び。

美しい川をカヌーで


ビーバーとの追っかけっこ


夜の美しい森と川


そしてオーロラに囲まれたキャンプ




美しい川と森、元気な野生動物、美味しいお酒、オーロラ
そして・・友人たちと語りあう夜。

もういつ死んでもいい・・といったら不謹慎ですが
そんな体験の連続がガルカナ川の旅でした。


「夢のつづきはアラスカで・・」

これは私の メールマガジンの題名ですが
このつづきは、どこに行くのだろう?ともおもいます。

フェアバンクスに住む友人の一人がこう言っていました。

「この生活そのものが私の夢なの」

夢とは、目標そのものではなく
それをやり遂げてゆく過程のことを言うのでしょうか。

実験君

(8月7日の記事です)

野営飛行映像舎の実験映像です。
(Winの方はQuick Time最新版が必要です)
スリーピングレディに沈む夕日撮影です。
(ちょっとせわしないですが、、実験ということで)

最近、やっと機材を少しだけ使いこなせてきてるような
感じなのですが、人に何かを伝えるには
実に様々な表現手法を学ぶ必要があるのですね。

写真、映像、文章、対話、一緒に飛行、キャンプ、飲酒

そんなことの集大成が最終的に対象へのフレーミングを決める
自分を作るような気がします。

でも、写真も文章もそうですが
まだまだ、、、と自己反省の日々です。

夜のズーニー語録

再度、山田ズーニー語録です

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひどい人間だと言われたら、いい人間だと弁明しない。
すまないことをしたら、いいことをして埋めあわせない。
胸にぽっかり穴が開いたら、代わりの何かで埋めない。
不安になったら、人から証(あかし)を求めない。

反作用をいったんこらえる。

それよりも、
自分をとりまく状況をちょっと広い目で見てみて、
そこに生まれ、
進みつつある「面白い企て」を前に進めることだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(おとなの進路教室。)より


アラスカにいて自分の好きなことをしているのに
書きたいことは、そういうことじゃなかったりする
のは何故だろう?

ええと、、

文中の
「面白い企て」を前に進めること

にいたく同感。

世の戯れ事(例えば人間関係など)は、ひとまず
それはそれとして、あなたのプロジェクトを進めなさい。

そんな私的解釈。

面白いプロジェクトを持っている人が好きだ。
そういう人と話すと、
面白くないと思われているこの世を
バラ色に変えてくれそうな気分になるから。

この前は、航空写真家のJeanさんがアラスカに来てくれた。
エキサイティングだった。Jeanさんの作品には夢がある。

消極的と思われがちな価値観を持っている人も実は好き。
無欲の生活を「面白い企て」にしている人たち。
ナチュラリストっぽい人が多い。

こういう人たちは、アラスカならガードウッド
日本ならニセコにたくさん生息している気がする。
フェアバンクスは、町全体がそんな感じかも。
日本の岳人は、この予備軍と思われ、、

そんな感じで
暗くなってきたアンカレッジの夜、
またもやズーニー語録にやられているのでした。

なりたい自分か?やりたいことか?

(8月2日の記事です)

アラスカ飛行&アウトドア活動中に
本を読むのは楽しい。
からだを休めている時に
ネットで好きな作家のコラムを読むのも
精神的な平静にプラスして
好奇心をくすぐるのにはいい行為です。

今日は、山田ズーニーさんの
「なりたい自分か?やりたいことか?」
というコラムを読みました。

どんなことかというと、
人が将来について考える時
以下の2通りのうちどちらかを考えるそうです。

1.なりたい自分→こうなりたいと思う内向きな欲求
2.やりたいこと→なにかに影響を与えたいと思う外向きな欲求

つまり

1.は、行き着くところが自分のことで
2.は自分はどうでもよくてそれより
外の何かに影響を与えたいという感じ。

そこでズーニーさんは問う。
「あなたはどちらですか?」と・・

面白いなとおもう。

なぜならば、
今「宇宙からの帰還」という
立花隆の本を読んでいるから。
この本は、宇宙飛行士が自己実現を終えてから
(つまり宇宙から戻ってきてから)の人生に
焦点を当てて書かれている本なのです。

ズーニーさんのいう、
1.「なりたい自分」を終えて
2.「やりたいこと」を模索する
宇宙飛行士のことが書かれているのです。

宇宙飛行士といえば、
たぶん自己実現の最たるもののような気がして

それらが終わった人たちは、一体どうなるのか?
宇宙飛行などは、そんなに何回も出来ないから
宇宙に行く=目標がある程度終了
な感が否めないような気もします。

「宇宙からの帰還」を読むと
それぞれの宇宙飛行士の人生観の変わりようと
その後の人生がよく理解できます。

たぶん、、だけれども、、
なりたい自分に終わりはあるけれども
やりたいことには、終わりがなくって
なりたい自分を通り越して(もしくは最初から無視して)
やりたいことに行き着くことが、
なにやら幸せの入り口のような気もします。

こんなふんわりとして曖昧な、、
でもじっくり考えるべきことを
提供してくれるズーニーさん。

女性の思考は素晴らしいなとおもうのでした。

北極海の旅、無事終了


(7月24日の記事です)

バローから今回のベースにしているフェアバンクスに
無事戻ってきました。

帰りは、こんな感じの経路でした。

バロー
↓(3時間)
アナクトビックパス泊
↓(1.2時間)
ワイズマン
↓(1時間)
ベテルス
↓(2時間)
フェアバンクス

バローでは出発の日、濃い霧に囲まれつつ(ついでに超二日酔い)
飛行場を離陸、どこかで同じく飛んでいる友人パイロットと専用周波数で北極海沿岸の空を無線でおしゃべり。

「ヘイ、イサオ 飛行機とお前の調子はどうだい?
アンカレッジに帰ったら、お前のハスキーで一緒に釣りにいこうな。だから無事に帰るんだぞ。」

北極海とブルックス山脈をつなぐ大ツンドラ地帯を
独り飛んでいるときには格別に嬉しい言葉だった。

そういうわけで今回のアラスカ行のメインイベントは
無事終了
(まだフェアバンクス→アンカレッジが残っているけれど)

夢のまた夢、次はどうなるんだろうと
ちょっとエキサイティング。

北極海


(7月19日の記事です)

今日はパイロットをしている友人の物資輸送飛行機で
北極海に面した村を
何回も飛ばせてもらいました。
物資輸送は、食料や研究者用の資材、クジラのヒゲから
なんと死体も運ぶことがあるそうです。

3回のフライト合計5時間ぐらい。
4つの村(ATQASUK、WAINRIGHT、POINT LAY、BARROW)
を物資輸送で行ったり来たり。
上記の村は、聞いたこともない読めない地名だったりして
とても興味深かったです。

北極海に面した湿地平原は、無数の湖沼が点在し
上空から見ていて本当に飽きない。(写真はハスキーのやつ)
久し振りに人の操縦の飛行機に乗って
自分は余裕を持って撮影できるのでうれしかった。

ネイティブレッジの人たちは
日本人と顔が似ていて親戚のような気がし
なんだかうれしかったし
空港に生活物資を取りに来る彼らの笑顔は
とても無邪気な感じがして、
一緒にいてとても楽しかった。

ここにいて感じることは、
ただ毎日を生きるという事実だけが
こんなにも素晴らしいことなのだなということ。
何もなくったって、何もないなりに、、
苦しくたって苦しいなりに、、
楽しいなら楽しいなりに、、
寒いなら、、
辛いなら、、

ちなみにバローの夏はそんなに寒い場所ではありません。
北極海に面した場所に住む人たちも
夏を楽しんでいるようです。

最後のフライトは、北極海の海岸線沿いを
超低空でパスしてもらいました。

海岸に打ち上げられたベルーガを5頭ほど見ました。
ベルーガの白い艶容な曲線が
なんだか人魚が倒れているみたいで
でもそれに群がるカモメをどうすることもできなくて
それこそまさに自然なのだなと
しみじみと眺めていました。

沈まぬ太陽、ポイントバロー


(7月18日の記事です)

北極海

ハスキーとともに
アンカレッジからついに到着
アラスカ縦断の締めくくりは、
北の果て「Top of the world」
ポイントバローの写真で。

今日、アラスカで一番美しい村「アナクトビックパス」を
出発して3時間、ブルックス北斜面の美しさに言葉が出ず
ひとり自然のことやその他、、珍しく生きることなど
いろんなことを考えたりしながら飛んでいました。

本当はフェアバンクスをでてから
いろんな村に立ち寄ったのですが
その過程は、後ほど。(それも素晴らしい場所ばかりだった)

ハスキーのコックピットで北極海を見た時は、
なにかが一つきれいに終わったような
終わりの寂しさがない達成感みたいなもの
が湧いてきました。

長年夢見ていたものは、ひとつひとつ
きちんと弾けてゆくものなのでしょうか?

沈まぬ北極海の太陽の夜に
次なる目標なんかをぼんやり考えたりしています。

明日から北極海


(7月15日の記事です)

一週間、心優しきフェアバンクスの友人宅で
たっぷり休養を取りました(+たっぷり飲んだ!)

明日から以下の旅程で北極海(バローを目指します)

フェアバンクス
ビーバー
シャンダラーレイク
ベテルス
アナクツゥビックパス
AN
バロー

燃料の補給とブルックス越えの天気が焦点。
エンジン故障の際の不時着点も考慮に入れるとなると
もはやプライベートな旅ではないような・・・
燃料は、予備ガソリンを積み込み
ブルックスは、うまく白夜を利用して
フライトなど考えています。

人のいないところに着陸してブルックスとANWRを
感じてこようと思います。

写真は、先週の日曜日に撮影したものです。
森林火災のあとのピンクの絨毯です。

Windy Pass




(7月13日の記事です)

タルキートナを越え
翼の延長線上にデナリを見つつ
さらに北上(写真左)

デナリを形成するアラスカ山脈を越える場所へ

Windy Pass(ウインディ・パス)という
その名の通り風の強い峠を越える。(写真右)

デナリといえば、この季節。
誰もがデナリ・ナショナルパークなる場所へ行くようです。
特に写真家さんがよく行く場所みたい。

上空から見るとひとすじの道、、

このたったアラスカの一部分から
生まれる作品はどのくらいあるのだろう?


僕は写真家ではないからかもしれないけれど

何か人に見せたい風景や行為は
まず自分がやってみたい旅や
なにやら面白そうな冒険を計画し
それに実際に出かけて

その旅の過程で
「ああ、、」と唸るほど
心の奥底を刺激されるような対象に出会った時に
たまたまカメラやら記録媒体があって
撮るだけのことであり
いわば自分の旅の副産物であって、、

自分が望んだ苦労や困難の果てにある
本当にやりたかった旅の一つの
ごく簡単なオマケみたいなものだとおもうのです。
深く刻まれるのは、自分の心であり
フィルムでもCCDでもなく。

よく心うたれる作品は、
その旅の過程からこぼれ落ちるものであり
旅そのものの結晶ではないんじゃないかと。

手付かずの自然への探訪という
アラスカの旅がメインなら、何でわざわざ
人のいるところなんていこうものか。

せっかくアラスカに来た写真家さんが
デナリなんとか、に行くと聞くと
寂しい気持ちになるのは僕だけなんでしょうか。

デナリ公園のお土産屋さんが立ち並ぶ
上空を飛ぶとそんなことをおもったりするのでした。


写真中央:Windy Passの状況を必死に読図するフリをする

デナリのバナナ




(7月13日の記事です)

森林火災のあとをパスしたのち

デナリのよく見える所までパークス・ハイウェイを北上。

きれい

ちょうど僕が飛んでいる時、フェアバンクスに住む友人3人が
デナリに登っている最中という情報を出発前に聞いていたので
3人の無事と成功を上空から祈った。


しばらく続くデナリの景色。
ハスキーのぐるりを囲む、そのデナリとの距離感。

なんだか、ただ飛んでいる僕も
その空間的な距離にあまり意味がないように感じ

でも、ちょっと
よく分からない気持ちにもなり
お腹が空いたので
バナナを高度2000の高みで食べたのでした。


その昔、日雇い人夫的な飛行士がいました。
仕事がない日は、別の土地に
何のあてもなく、気分で飛ぶ飛行士。

それをジブシーパイロットとよんだそうです。

現代のジプシーパイロット
バナナもガソリンもなくなったら
あとは歩くだけ。

BIG SUの森林火災




(7月13日の記事です)

全開の日記と前後しますが
出発の飛行の話をすこし。

チャーリーリバーに行くために
アンカレッジからフェアバンクスまで
荷物満載で飛んだ時のこと。

出発から30分ほどで前方に森林火災の跡を発見。

これが6月の下旬にキーナイの森林火災と同時に起きた
ウィローとタルキートナのほぼ中間点、
スシトナ川の西側に起きた森林火災。
たぶん落雷が原因と思われますが、
くわしいことは、よく分かりません。

ただ上空から見ていると、
この焼け焦げた
大地のパッチワークのような跡は
果たして本当に悪いことなのか、、どうなのか?
という事すら分からなくなるぐらい
美しいコントラストでした。

僕には、人間の資産を焼き尽くしても
なおかつ必要な自然の営みに思えてなりませんでした。

人間の資産・・


写真上:メリルから荷物満載で記念撮影
中央:森林火災とデナリとスシトナ平原
下:これが良いか悪いか、、あるのは広い大地に広がる茶色の染み一つ

チャーリーリバー(5)



(8月2日の記事です)

HPで、新たな写真も含めた
出発〜B24追悼登山総集編のフォト日記をHPで作りました。
http://talkeetna.jp/AK_outdoor/charly/charly.html

しかしなかなか川下り本番に進まないですねー

残りのアラスカ滞在を考えると
HP更新よりも遊ばなくては!!
という気持ちでいっぱいなのです。

ちなみに遊んでくれる人大募集です。
ちょっと際どいアラスカアウトドア、誰か一緒に行きません?

意外とアンカレッジには遊べる人がいないのです(哀)


写真左:ぼくたちどうなるの?(ムサシとアラシ)
中央:何とかなるさ、魚があるじゃない(私)
写真提供:メルモさん

ちなみに引き続きメルモさんの日記も見てくださいね。
(文句なくおもしろい!!)
http://alaskamono.exblog.jp/5850454/

チャーリーリバー(4)




(8月1日の記事です)

そんなわけでリーガン一家との旅が始まるのでした。

サークルホットスプリングスから川の上流地点までの移動は
地元のブッシュパイロットにお願いする。

さすがにプロの飛行機はヘヴィーな感じがする。
何でも積めてどんなところでも、、、という感じだ。

着陸地点の近くに太平洋戦争時に用いられたB-24の墜落地点が
山の中にあった。(写真左)
ブッシュパイロットいわく「2から3時間でいけるよ」
とのこと。
リーガンと僕は
歴史的にも飛行機的にもこのB-24に興味津々で
「いってみよう!」と言うことになった。

B-24は、太平洋戦争時に大量に生産され日本を爆撃していた
飛行機でもある。なぜアラスカにいたのかは今後調べるけれども
欧州戦線に送られるものなのか、耐寒テストなどをしていたのか
想像力をかき立てられる。
乗員への弔い登山にもなるだろう。
なにせ僕は、現代の話だけれども10年間ばかり
日本の兵隊飛行士をやっていたのだから
しっかりと手を合わてこようと思った。
彼らだって家族や友人を守るために死んでいったのだ。
兵士に罪はない。
悪いのはこういうことを軽く無視することである。

スワンプ(とても湿った感じの草地、歩きにくい)を
乗り越えリーガン一家と僕は、約5時間かけて
B-24の墜落地点へ。
途中、8歳のムサシと5歳のアラシは泣きながらもしっかり
着いてくる。文句を言うとリーガン父さんに怒られる。
そして彼らはB-24に着いた時にもらえるチョコレートバーを
噛みしめながら、文句を言っても何も始まらないことを
身をもって知るのである。

B-24のジュラルミン製の翼と胴体は
およそ60年前の機体とは思えないほど鈍く光り輝いていた。
アラスカの厳しい環境が腐食を食い止めていたに違いない。
折れた翼と曲がったプロペラブレードは当時のまま
大地に突き刺さっている。
尾部機銃のちょっと後ろに乗員の飛行帽が残っている。
60年前なのに信じられないが、しかしその帽子は
そのまま半分に破けて残っていたのである。
アメリカ国旗が5つ、翼の下に立ててある。
聞いた話では、この旗の下で昨年遺骨が発見されたという。
(ちなみに日本でもいまだに硫黄島の洞穴で数本の柱(遺骨)が見つかっている)

戦争とは関係なく空を飛ぶことに憧れを抱いた乗員は
白銀の世界に舞うであろうこの銀翼に
夢と希望を託していたのだろう。

この世のパイロット達は、まさか自分の飛行機が落ちるなんて
本当にそうなるまでみじんも感じないものだから
死の間際まで夢と希望で一杯だったに違いない。
僕だっていつ墜落するか分からない、
でも、だからこそ、その間際まで
しっかり生きようと思うのかもしれない。

彼らにしっかりと手を合わせその場を後にした。
(ちなみにこの乗員のうち一人は途中でパラシュート脱出をし
極寒のアラスカ山中を1ヶ月かけて凍ったユーコン川まで下り
なんとか生還を果たしたそうです、細部は私の本で記載します)

チャーリーリバー(3)リーガン一家と合流



(7月31日の記事です)

めでたくリーガン一家とサークルホットスプリングスで合流
リーガン一家は車でアンカレッジから一日かけて到着。

〜リーガン一家〜
リーガン:弁護士&パイロット
メルモ:やさしい奥さん
ムサシ:8歳になった長男(左)
アラシ:5歳の次男(右)

という家族構成。
元気な男の子達がいつもはしゃいでいる明るい家庭だ。
アンカレッジでは本当に仲良くしてもらっている家族同然の
一家で今回の川下りアドベンチャーを誘ってくれたことが
とても嬉しい。

これから約一週間
このファミリーと川旅を始めるのだ。


子供たちは8歳(ムサシ)と5歳(アラシ)。
川下りという冒険を通してからだの中に
「生きるに大切な何か」深く刻み込む絶好の年齢。

男の子の成長には、父親の背中が必要。
その背中が語る「無言の教育」という名の
決定的な
そして他の誰にも教えることのできない事柄を
父の行動で直接教えてもらえることは
昨今の時代では、決して普通のことではない。

きっと家族とは、そういうことを教えあう集団であり
甘えと叱責の関係だけではないはず。

「父との共有体験」

男同士の関係性は、
時間や空間を共有することで初めて成り立つ
それは、親子でも同じだ。

そんなことを、この家族と旅をすることで
再び気付いたような感じがするのでした。

そしてなかなか話は、旅本番に進まず、、
リーガン奥さんのメルモさんのブログが秀逸です。
http://alaskamono.exblog.jp/5850454/

相変わらず抽象的な私の旅記録のスーパーアシスト(面白い)
ぜひ見てみてください。

つづく

チャーリーリバー(2)




(7月29日の記事です)

今回からユーコン支流のチャーリーリバーのお話です。

6/30日、友人家族とチャーリーリバーに下るべく
ハスキーで前日にフェアバンクス着。
フェアバンクス空港にハスキーを駐機したのち
とても良くしてもらっている
フェアバンクスの知人宅へ泊めてもらう。

夜はビールとご馳走と友達3人の大歓迎で、もう笑顔丸出し。
その宴会の席で翌日のフライトにて
オーロラロッジをやっている女友達の家上空をパスする約束。
チャーリーリバーの起点飛行場のサークルホットスプリングス
までの経路に彼女のロッジがあるのだ。
「黄色いハンカチを振る」と約束してくれたかどうか
その夜は飲みすぎと疲れであまり覚えていなかったけれど
翌日、なんとか一時間遅れて上空を通過。
2回目のパスで約束通り
黄色いハンカチを大きく振ってくれている友人の姿が(写真上)

「映画のワンシーンで出てくるような風景かなぁ、、」
とちょっと感動。
ハンカチを振る彼女の姿は、映画のヒロインみたい。

だけれども、、
上空から見ている自分は二日酔いのダメ飛行士とくれば
なんだか映画の寅さんのような気分で、
彼女のロッジをあとに
進路を東へと進めたのでした。

スティースハイウェイを目印に東へと一時間飛んでいくと
サークルホットスプリングスという地名がでてきます。
名の通り温泉が出る土地。
緑色の温泉を上空から眺めつつ(写真中央)
2年前、車で訪れた時の思い出がよみがえるのでした。
http://talkeetna.sakura.ne.jp/CIRCLE.html

サークルホットスプリングス飛行場に着陸態勢。
飛行場とは名ばかりの草ボウボウ地帯へ降りる。
駐機場ではガチョウ?の親子が歓迎。

ここで友人家族とおちあい
最大のアドベンチャー「チャーリー川下り」が
始まるのでした。

つづく

チャーリーリバー川下り!(1)





(7月12日の記事です)

8日間の川旅から戻りました。

まずは写真で!
魚はグレイリンクです。

おいしかった!!

ブッシュランディング!




(6月28日の記事です)

とうとうツンドラの上に降り立ちました。

これでブッシュパイロットの仲間入り。

飛行場ではない場所に着陸するのは
「夢」だったので素直に嬉しい。

結局、誰に教えてもらうでもなく
自力で着陸実施。

「夢」って思い描き続ければ、、、
「まあ、なんとかなる」ものなのですね。

着陸後、長年の夢を果たしたからか、
思わず誰もいないツンドラと氷河の大地で
叫びつつ、ちょっとした達成感。

その後、調子にのって
他の場所も数回ブッシュランディング。

もう何処でもいけます!?

これでブッシュパイロットの聖地フェアバンクス
に向かう準備は万端です。

北極海へ

(6月27日の記事です)

こんなタイトルの本を読んだことがある。
川旅を日本に知らしめたあの野田知佑氏の著作だ。

たしかマッケンジー川を下る話で、氏に珍しく妙に初々しくも
心躍る内容は、極北の匂いを多いに楽しめた。

北極海へ単独でたどり着くとどんな感じがするのだろう。
僕の場合は飛行機で北極海をみるのだろう。

だから

北極海は、前方一面に広がり
僕の視界中における既知は
それをはるかに越えた、、、

とか

愛機の翼の長さを越える白い水平線、
自転という基準そのものに
そっと、、垂直に近づくような不思議な感覚。

などと書くのだろうか。
いずれも勝手な想像だけれども。


自転軸は、地球の運動に関する
唯一の基準だとおもわれる。

僕らは、これに対してどうにか振る舞えば
なにかを知ることが出来るような気がする。

どうにかというのは
近づくとか、基準の中心に立ってみるとか。

アラスカ、極北、北極海、、
魅せられるということは
そういうことのような気がする。

願わくば、バローでうまい酒を飲みたいもの。

AKリバーツーリング!

(6月25日の記事です)

突如、今週の金曜日から約一週間のリバーツーリング(川旅)に
行くことになりました。友人家族と一緒に!

コースを聞いて、、
すげえ、、楽しそう。
たぶん今年一番の旅になるに違いない。

コースは、ユーコン川上流のチャーリーリバーという
なかなか奥地(飛行機でしか行けない)の川を数日下り
ユーコン川に合流、その後数日かけてユーコンを下り
サークルというネイティブビレッジに行くというもの。
ユーコンだけだったら、行かないけど
チャーリーリバーと聞いて「お!!」素晴らしい。

早速、嫁さんに自分の旅用カヌーを
日本から送ってもらい(着くかどうか微妙だが)
めったにいけないエクスペディションに
めちゃウキウキモード。

今回、ハスキーはフェアバンクスまで一緒。
自分が川下りするから一緒にはいけないので飛行場でお留守。
川下り後、フェアバンクスの友人と会って周辺をハスキーで
楽しむ予定です。一週間ぐらいかな。
ついでに北極圏まで行ければいいな。

空旅もいいけれど、川旅や山旅はもっと面白い。
地や水に触れることこそアウトドアの楽しさですからね。

現在、準備の幸福感、、
まっただ中にいます。

ウイスキーの40番よ





(6月24日の記事です)

「あなたの飛行機はウイスキーパーキングの40番よ」

「ウ、、ウイスキー?」

「アラスカのパイロットはウイスキーばかり飲んでるから
そんな名前になったのよ、ちゃんと40番に飛行機停めるのよ」

アンカレッジの小型飛行機専用の飛行場、
駐機場を借りに行った時、事務のお姉ちゃんはそう言った。

その後、ハスキーで晴天8時のアンカレッジ上空、
短くて小さい砂利道滑走路を探しあてて着陸。

大きな町の中にこんな情緒溢れるちいさな滑走路、
着陸時の心地よい緊張感がほぐれると
風景はぐるり360度砂利道ばかりで田舎の雰囲気。

ウイスキーの40番パーキング、、、

たどり着くと、40番には違う飛行機が停まっていた。
これは、スーパーカブ殿。。
右翼にガンケースが装着されている、、
40番といったお姉ちゃんの顔が浮かび、どうなんだか
堂々と僕のウイスキー40番にいすわるスーパーカブ様。
まあアラスカだし、、と隣の41番に駐機。
やはり年季の違うスーパーカブ様、切り番譲ります。

でもまさか、ウイスキー飲んで着陸したのでは、、、

のんびり&いい加減なアラスカって素敵。



写真上:堂々とウイスキーの40番にいすわるスーパーカブ殿
    向こうは我がハスキー
中央:右翼下に装着されたカッコいいガンケース!真似しよう。
下:遠くでおさまる可愛い黄色のスーパーカブ。
  まわりはカブちゃんだらけ。

山火事の影響




(6月23日の記事です)

アラスカに来て素晴らしい天気、最高の飛行日和。

写真左のフライト二日目。
ハスキーも青空バックに砂利道滑走路がよく似合ってる。

これが昨日のこと。
30分ほど飛んでハスキー慣らし。
地上の景色はやっぱり綺麗だった。

そして、今朝。

朝6時に起きてみるとなんだか外が暗い。
表に出てみて空の様子をみていると
スモーキーな匂いがする、、??
視程が悪く飛びたくない天気。

そしてアンカレッジデイリーニュース(新聞)を見てびっくり。
キーナイ半島の南、カリブーヒルズという場所で山火事が起きて
その煙が南風にのってアンカレッジに到達しているのだ。
今日の夕方遅く風向きが変わるまでこの状態は続くという予報。

他にもアンカレッジの北の街、ウイローとタルキートナの
ちょうど真ん中で同じく山火事が起きている様子。
こちらの山火事も気になる。
一昨日の雷が原因だろうか?

でも昨日、フライトをした時はそんな煙は見当たらなかった。
とにかく飛んでも仕方がない。
天気がいい日が続くと続くと我々には不都合なことも起きる。
でも、それが自然循環というものなのだろうな。

今日は、ゆっくり待ちの日。
しかし、、それなりの規模の山火事なのだろう。
アンカレッジからキーナイの火事発生地点は
180kmも離れているのだから。

今後の推移は、また報告します。

写真右はカリブーヒルズの火災
(アンカレッジデイリーニュースから)

夏のハスキー


(6月21日の記事です)

ハスキーを取りに行きました。

アンカレッジから車で一時間半のところにある飛行場に
フォードで行ってハスキーとご対面。
3ヶ月ぶりの再会は、「おっハスキー、かっこいいじゃん」
という印象、なんだか不思議な気持ち。

エンジンを回してシミュレーションテイクオフをして感覚を取り戻す+ハスキーの調子を見たあとフライト開始と思ったら
風が急に強くなったのですぐに中止。
のんびり森の飛行場で作ってきたおにぎりを食べながら待つ。

こういう時は、絶対にあせっちゃダメ。
風見鶏を見ながらのんびりいこう。

アラスカは今日、日射がすごくて地上の空気が暖められて
すごく風が巻いていた。
空の世界は、高気圧と太陽がいいとは限らないのだ。
太陽が雲に隠れて、地表面の温度が一時安定したころを
狙って離陸。

3ヶ月ぶりの飛行。
やっぱりすごくいい、すごく面白い。
でも感覚はすぐに戻って楽しいんだけれど
やっぱり外ばかり見ている、空中衝突が怖いのだ。
アラスカの夏は飛行機がメチャクチャ多いから。

でも、、
冬の厳しいフライトは、なんだったんだろう?
というぐらい快適。Tシャツと窓全開で最高に爽快フライト。
緑でいっぱいの地上の景色は、本当に天国みたい。
これからどうやって遊ぼう、、かな。

アンカレッジの砂利滑走路に着陸後、荷物を整理して
家まで歩いて帰る。
車は近郊の街の飛行場にあるので取りに行かなきゃいけない、、
だれか飛行機でそこまで乗せますので
運転して持って帰って来てくれませんか?

写真は、今日泊まりになるかも、と思って持っていった
ビールが破裂しそうになったのでやむなく飲んだ時のです。

アラスカに行ってきます

(6月13日の記事です)

早いもんですね、、、
もうアラスカに戻ります。

明日から台北経由でアラスカ入りです。
北海道から直接、台北に行けるのでちょっと楽です。
台北で3日間、ヤボ用を済ましたあとの(観光、、)
アラスカ入りです。

たぶんこの夏はハスキーと一番遊べる年になると思います。
アリューシャン北部への飛行、北極海までの旅、
ブルックス野営飛行、フェアバンクスの友人訪問、
アンカレッジの仲間との再会、、、

ああ、いろいろとあるけれど
本当に楽しみ。

夏、野宿しながら飛行機と一緒に
アラスカ中を旅するのが
夢だったから、、

夢っていうのは
「自分の理想を実現しようとする
姿勢を保っている状態のこと」
のような気がします。


では、いってきますね。

日本の沢登り




(6月11日の記事です)

もうすぐアラスカ、、といいつつも
あいかわらず準備なんかをせず、
北海道の山へ沢登りに
1泊の沢の中での野営を含めて行ってきました。
場所は、積丹半島の積丹岳、伊佐内川。

北海道でこの時期の沢登りは
時期的にはまだ速いのですが、
アラスカに行く前に日本の夏の自然を一番味わえる
沢登りで源流行がしたかった。
むせ返るような濃い森と清流の美しさは
北海道、いや日本の誇る素晴らしい財産だとおもうのです。

写真右:苔むした伊佐内川を歩く
中央:滝の中央をシャワークライム
右:残雪残る伊佐内川の源流部


沢登りとは、川の流れとは逆に上流にむかい
豊かな自然が残る渓をたどり、釣りや山菜取り、
そして野営などを通じて自然と真に一体化できる素晴らしい旅。
日本独自の文化で出来上がったこの旅のスタイルは
釣りや冬山にならんで一生かかっても飽きない
私のライフワークです。

北海道の沢の水はまだ冷たくしかも雪代で増水しているので
遡行は楽ではありませんでしたが、初めての人を3人連れて
新緑が美しい森の源流をたどる旅はアラスカに行く直前の
私にとって最高の思い出になりました。

アラスカの自然は、野生そのものの魅力があり
日本の自然は人と森との関わりに魅力を感じます。
いずれも自分で歩いてこそ
いろいろと感じる事ができると思います。

こんな日本の自然をたっぷり味わった後に
アラスカに行く自分がどう変わるのだろうかと
ちょっと楽しみだったりします。

北海道山菜紀行




(5月22日の記事です)

北海道は、山菜がいい感じ。
里山道端のすぐそこにお金では買えない
ゴージャスな食材が転がっていました。

最初の写真は、いわずとしれた「タラノメ」
道端の日当たり良好地帯に孤高の新芽がそびえる。
容赦なくいただき。
天ぷらが旨い。
ほろ苦味とうま味が、
この世にこんな旨いものがあるのだと教えてくれる。
しかもタダ。

最後は、「コシアブラ」
この新芽はあまり知られていないようで
どんなフル装備の山菜マニアジジイとババア(失礼、、)でも
採っている姿を見たことがない。
みんながタラノメに夢中になっているときに
コシアブラをごっそりビニール袋に入れる快感は
人生の教訓に似ている。
「誰もやらないことをやりなさい」

天ぷらで素揚げっぽく仕上げると
極上の薄苦味感+葉っぱの歯ごたえを味わえる。
誰にも教えたくない要注意山菜だ。


他にも「ハリギリ」など渋い新芽の写真もあるのだけれど
掲載は3枚までなのでまた今度。
ちなみにハリギリは、アクがタラノメよりさらに強い味。
きっと少し葉が出てから食べると良いんだろうな。


天ぷら with 恵比寿ビール、、といきたいところだが
マグナムドライ(笑)


ああ、いいな。
みんながこぞっていく世界遺産の知床や屋久島にいかなくても
近所の野山に十分感じられる楽しい自然があるんですね。

ビバーク=緊急野営

(5月18日の記事です)

そんな山の用語がふさわしい日本の縦走登山をしてきました。
場所は、ニセコのチセヌプリから雷電山を越えて朝日温泉まで。
距離にして12〜3キロ、日帰りにしては厳しい山行。

尾根には、なんとか雪も残っていて
スキーによる行動は結構快適。
楽しく雷電山を越えたところで、
ちょっとした判断が求められる場所に来た。
リーダーは自分なのでいろいろ考えつつも
一緒に来ていた友人Aにビバークを体験させたいと思って
よせばいいのに、ちょっとハマりそうなコースを選択。
本当にハマったらビバークしようと思ったらやはりビバークに。

友人Aは程よい薮漕ぎの疲労+ビバーク宣言を聞いて放心状態。
「ビバーク=夜を耐える」は、正直ツライ。
そんな精神状態を作ってあげるのも役目だし教育だったりする。
仲間を死なない登山者に仕立てるのは、正直骨が折れる。
しかし自分も若いときはそうやって教育されたから、
仲間にもそうしてあげる義務がある。

持論なんだが
ほとんどの人間は、
うまくいっている状況だと何も考えないクセがある。
だからそんなときはほとんど成長しない。
誰もかまってくれず、目立った成功も満足感もなく
毎日が辛くドツボだと思う時、
そのひとは確実に地中に根を張り巡らし
将来の飛躍の栄養分をためている時期である。

山におけるビバーク体験とは、どんな状況でも
絶望してはいけないという精神的訓練であり
時間という自然摂理を耐え抜くことで
必ず良い状況が訪れることを体で教え込むことである。

案の定、ビバークの夜は寒くて凍え死にそうだったが
アイヌネギ(行者ニンニク)を沢山採っておいたおかげで
楽しいニンニクパーティにもなった。
(しかも焚き火をしたので快適、、)

登山を通じて、、だけじゃなくって
結局、人が唯一他の誰かにしてあげられるってことは、
「その人が自立して生きてゆけるようにしてあげること」
だと思うこの頃です。