2007年2月5日月曜日

アンカレッジの西、霧のスシトナ平原




2月4日アンカレッジ、朝7時半
気温マイナス14度、快晴

厳冬期の遅い日の出も、いつの間にか朝の7時台に
美しい朝焼けが見られるようになった2月初旬。

アラスカに住む人たちの気分は、既に春モード

太陽が出ている日中においても
刻々と伸びているのではないか?と
肌で感じる日照時間の増加


地球上の”いきもの”として素直な嬉しさ


朝焼けを空中撮影するために
珍しく早起きして飛行場にいるハスキーのもとへ向かった。

一日のうちで一番寒い時間の卯の正刻。
体感温度ではマイナス20度を超えているのではないか?と
思うが実際はマイナス14度。
朝焼け前の青闇が
緊張感のある朝を演出して寒さを誇張している。

ハスキーの防寒具である赤いウイングカバーをとって
飛行準備を進める。
作業で手は、かじかんで体も冷えきる。

全ては写真撮影のためのフライトだから
離陸から窓は全開にしておく。


真冬の上空1000ftで飛行機の窓を全開にするのは
とっても寒いが、気持ちの良いものだ。
古き良き時代の飛行士が、
窓なしで飛んでいた気分がどんなものかよく分かる。


誰もいない冷えた早朝に
のどを通って
すーっと胸に入ってくる
1000ftの清純な空気は、なによりすてき。

世界で一番美しい日本の渓流に
素足をひたす感覚にとても似ている。



アンカレッジの西
スシトナ平原は、霧の中。

さらに遥か西
スリーピングレディのずっと奥にある
アラスカ山脈とアリューシャン山脈の境目の
名もなき山並みに、
同じくアンカレッジの東側にある
チュガッチ山脈から這い上がってきた
太陽があたってピンクに染まっている。

光が東の山脈から西の山脈へ

アラスカの朝日は、真上からではなく
東から西へ斜めに物語を作る。

ここにすむ人たちの生き方との関係性の有無を
正面と後ろの景色を見ながら考えたりするが、
そんなことは、もちろんわからない。
ひとつだけ、ひらめいたことは
光はあらゆる方向から照らしてみるべきだ、ということ。

物事を無限の角度で見てみること。

この世の出来事は、すべて光の当たり具合でどうにでも変わる。


写真左:霧に囲まれたスシトナ平原
中央:名もなき山にあたるピンクの朝日
右:日の出の斜光

2 件のコメント:

ggt さんのコメント...

すばらしい景色と文章ですね
アラスカにいなくてもアラスカの美しさ、厳しさが伝わってきます。

星野道夫氏の世界を別の世界から見ているみたいで感動です。

これからも素晴らしい文章と写真を楽しみに、またブログに遊びに来ます!

湯口 公 さんのコメント...

コメントありがとうございました。

アラスカの景色を空から伝えることで
生きてゆくのに本当に大切なことや
自然環境のことなどのメッセージになればと思っています
これからもどうぞよろしくお願いします。