2010年5月31日月曜日

フラックスマン島

北極海という名の氷原を飛びながら、
航空地図を眺める。

氷が一帯を覆うハッキリしない地形では、
地図だけが周辺になにがあるかを教えてくれる。

ふと細長い地形である島の名前を見てみると、

Flaxman Island

と書いてある場所があった。


フラックスマン島・・・聞いたことがある。


たしかフランク安田が、ここで住んでいたはず。

もしかして、
まだその当時の家はあるのだろうか?


早速、北極海を西進しフラックスマン島を目指してみる。




フラックスマン島はポリゴンで形成され、
あまり見たことのない雰囲気だ。

しかし、島には霧が立ちこめて
建造物があるかどうかは、なかなか確認できない。

何回も島の周りを飛び続け、
霧の切れ間からフランク安田が住んでいたであろう家を探す。

しかしながら霧が濃く、なかなか発見できない。
何回も島の周りを旋回しているのだが・・

ほぼあきらめかけた時、霧が少し晴れてきて、
廃屋のような建造物が出てきた。




屋根が吹き飛び、ひどい状態だが
家らしきものは、確かにそこにあった。


北極海沿岸部らしい濃い霧の中、
ひとつ、日本人の痕跡を見つけられた喜びを感じる。


そしてひとり飛びながら、
変化と移動に富んだ運命の中、
フラックスマン島に一時、
住んだフランク安田のことを思いつつ、


移動は我々の本質であり、
移動そのものに意味があるのではないか


などと思ってしまう。



流れず澱んだ水に価値がないのと同じで、
我々は少なくとも、
現時点で移動と連続的な思考をやめてしまったら、そこでアウトだ。



その後、北極海の霧はさらに濃くなり、
私は逃げるように針路を南へ、
スーザンの待つカビックへと戻った。

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