2009年10月30日金曜日

2009 8.3 Fairbanks→Galena(3)




フェアバンクスからガレナまでは、約3時間。
1時間かけてなんとかユーコン川上空8000ftまで
這いだしてきたのだが、

これが、いかんともしがたい
雲上飛行、いや煙上飛行。
地上が見えない。

しかし、
アラスカを分断してひたすら西へ延びるユーコン川を進めば
この森林火災が原因の煙も、消えてなくなるだろうという読みは
当たっていて、ユーコン川沿いのルビーという村付近では、
(ガレナから数十マイルの場所)では、
すでに地上が視認できるようになっていた。

ちょっとした冷や汗をぬぐいながら急下降する。

「よかった・・何とかなりそうだ」

地球環境をテーマにした吉川教授のデータを
まずは取りにいけそうだ、という
安堵感が体を急に汗から遠ざけてくれる。

それにしても大自然の現象に、
俺はいつも振り回されてばかりだ、世間は
人類が自然を壊すことを心配しているが、
俺にとっては、自然は本当に怖いものだという
畏怖の念でいつも一杯である。

ユーコン川上空を降下する
まだ、煙の名残はかなり残っているうえに、
川ののっぺりした地形が、またしても上下感覚を奪い、
まったく飛びにくい。
仕方なく螺旋(らせん)降下をあきらめ、楕円降下に変更。
これだと直線距離が増えて、感覚の立て直しが可能になる。
連続した心身への負担は、飛行の大敵である。
できるだけ楽をするべき所は、抜く。
これは厳しい環境下で生き延びる秘訣だと思う。

ユーコン川直上、1000ft。
ガレナの村に近づくと
この村の規模には不釣り合いな巨大滑走路が見えてくる。
冷戦時代の名残と思われる軍事基地なみのアスファルト滑走路は
ユーコンとの不釣り合いさを伴って
村の中央に居座っている。



しかしこんな景色を見る自分とは裏腹の、
ひとまず森林火災の煙から無事脱出して
給油が出来る・・という安心感はよいものだ。
非常に苦しい状況を耐え抜いた後の安堵感は、
知る人ぞ知る究極の幸福感でもある。

よし、これでベーリング海までは進める。
海を見るのが楽しみになってきた。

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