2009年8月2日日曜日

周りすべてが燃えている

翌朝、サークルを離陸してユーコン川沿いを南下、イーグルという町へデータ取りへ。離陸前、サークル飛行場で消火活動支援にあたっている人に火災の場所を聞くと

「この周囲すべてよ、飛行するなら気をつけて」

と言われる。まったく参考にならない答えだなと思いつつ、消火活動している人としては本当にそれほど絶望的なんだろう、、と少し解釈してみたりする。
離陸後、サークル上空を旋回しながら八戸さんは撮影、自分は山火事の状況把握。

<概略火災分布状況>

1.サークルの南
2.サークルとセントラルの中間
3.セントラルの少し向こう側
4.ユーコン川を挟んで北側に大規模

南へ進路を取りユーコン川を下る。


途中、ユーコン川のほとりが燃えていた。
もう、どこもかしこも火災だらけである。
これは自然界の必要悪か?と思いつつ、だんだんそれを受け入れる自分がいた。以前、吉川教授はこんなことを言っていた、

「村に関係ない山火事はFire Fighter(消火隊)も消さないことがおおいんだよ」

その理由は聞かなかったがなんとなくわかるような気もする。

そういえば、、
森林火災を消火するFire Fighter隊員と昨日、夕方サークル村の食料品店前で出会った。彼ら5人は、汗混じりの灰で汚れた緑と黄色のユニフォームで食料の買い出しにトラックの荷台に乗ってやってきた。その薄汚れた容貌は消火作業の過酷さを知るには十分すぎるものである。そして、なかには背の高いサングラスをしているポニーテールの女性がひとり混じっていた。

俺:「皆さんは、森林火災消火隊(Fire Fighter)の方ですか?」

隊員男性:「そうです、消火作業をしています」

俺:「この周囲、本当に山火事がひどいですね」

隊員女性:「ええ、特にユーコン川の北がひどいわ」

その後、隊員たちは凛とした振る舞いで整列気味に目の前に立ち並び、
ちょっとその状況に私は、少したじろいでしまった。
この目の前に並ぶ5名の威風堂々とした感じ。
なんか私に言葉を期待しているような、そんな感じにもとれる。

いままでの村人とは、明らかに何かが違う雰囲気、なんだろう・・・そうだこの人たちには、なにか漂うプライドというか自分のやっていることに対する自信、いや、、、周囲からの尊敬に起因する誇り、そう俺たちが完全に失ってしまっているものを身にまとっているような気がした。
それは以前、日本の兵隊だった自分だからわかる命を賭すものの誇りにも似ているのだけれど、もちろん日本の兵隊さんは、誰にも感謝されていないから自分が彼らに対してちょっとたじろいだのも頷ける。つまり彼らは文句なくかっこいいのだ。

「戦争しない国の戦闘機パイロットのどこが命をかけているというのか」

と冷たく罵られることもあるのだが、
それが敗戦国における兵隊の扱いである仕方がない。
まあどんな状態でも、とにかく平和であれば良いのだから。

などと昔を思い出しながら火災域を飛びつつ、写真をたくさん撮ってきた次第。
よくない言い方かもしれないが、空中至近距離から見る山火事は美しくパワフルな威光があった、それはその他の自然現象となんら変わるところなく、いやそれ以上に見とれてしまう強さがあった。







そしてフェアバンクスへ無事、帰還。

あれれ・・・

フェアバンクスも煙の中、目とのどが痛い!

また明後日からベーリング海へ旅立ちますので10日ほど、留守にします。

では!

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