2008年4月25日金曜日

闇をうつせ

執筆が終わって出版までの
何とも言えない虚脱な空気のなか、
ふと衛星ハイビジョンチャンネル
で放送されていた映画を見た。

それは太平洋戦争が舞台の映画だったのだが
とても印象的な美しいシーンがあった。

それは、太平洋の海原で
日本海軍のレシプロ艦上戦闘機が
空母を発艦するシーンであり

その背景は
太陽が出現する以前の
真黒とも深紅ともいえない色彩を放つ
闇の水平線だった。

その闇のなかには
とても深い階調性が内包されていた。
闇が闇としてではなく
「ある状態として」映像に記録されていた。


この感じを
なんと説明したらよいのだろうか。


たとえば、我々が夜の街を歩くとする。
その時、通りの街灯は闇を照らして
その周辺を明るくするが、
街灯が照らし出す範囲には限界があるので
その光はやむおえず
周囲に溶け込んで
徐々に消えてゆく。

決して直線的に表すことのできない
光が闇へと
緩やかに消えゆくさま

単なる階調性という事ではなく

その、やさしいけれど
確実に変化している過程が
闇を「ある状態」として写していたと思うのだが・・

これは
ニュアンスの問題でもあり
ちょっと分かりにくいと思う。
(湯口は曖昧でよくわからないな、
と言われるのを覚悟しつつ)

しかしこれは
人生のダイナミズムと繊細さを同時に味わうために
欠かせない感性のようであり、、

私は昔から(きっと小学生の時から)
闇を表現したいと切に願ってきたので
どうして写真では、
自分の眼で見たような「闇そのもの」が写らないんだろう?
と思っていた。

最近、その世界を写そうと苦心している。


超高感度倶楽部


闇を表現するということ・・
きっと希望につながるはず。

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