北緯70度(正確にはN69.40)のカビックキャンプでは、
スーザンさんという管理人(というか唯一の住人)が
1人でお客さんを切り盛りしています。
しかしながら冬は誰も来ない場所でもあり、
私は去年の12月から約半年ぶりに出会う人間だそうで
それはもう歓迎してくれました。
一緒に食事をしながら、いろいろとお話を聞きました。
このスーザンさん、7年前からこのキャンプの管理をしているそうです。
6月から8月までは、
ブッシュパイロットが連れてくるお客さんのお世話で忙しく、
その他のシーズンは、それなりにキャンプの維持をしながら、
自然を楽しんでいる様子です。
私のテントの前で誰かと話している
スーさん(スーザンのニックネーム)、
「マージ、マージ!」
とお話しをしていました。
そのほかにもキツネやフィレットの類も友達であるらしく
盛んに声をかけていました。
まるで北の国からの螢ちゃんのようですが、
現実のアラスカはそう甘いものではありません。
スーさんは2年前、川で取水ポンプの作業をしている時に
グリズリーに襲われた時の話をしてくれました。
※
キャンプから数十メートルにある川から
取水ポンプを外す作業をしていた時、
突然見えない場所から、グリズリーが襲ってきたの。
そのときは、銃を持って行っていたのだけれど
側に置いて作業をしていたから、間に合わなかった。
まず後頭部を咬まれて、(後頭部の傷を触らせてもらう・・・)
そのあと、お尻を叩かれたの。
そのとき私は、
「このクマは、この場所を自分のテリトリーにしたいだけなんだ」
と思って、死んだふりをしたの。
するとグリズリーは、私を転がして
私が無抵抗であることを試したわ。
こういう時は、抵抗したり力を加えたりすると
相手がそれに気が付いて、やられてしまうから
じっと我慢するのよ。
グリズリーは人間を食べに来ているのではなく、
自分のテリトリーであることを証明したいだけなんだから。
その後、2〜30分グリズリーは私を転がしたけど、
そのうち、いなくなったわ。
すでに歩けなく出血していた私は、キャンプまでの距離を
這って戻って、電話で助けを呼んだの。
しかし、その後パイロットの助けが来たのは、10日後。
その間、私はずーっと1人でこのキャンプで
耐えていなくてはいけなかったの・・・・
結局、フェアバンクス経由でシアトルまで戻って
手当を受けたわ。
※
現在も元気に働くスーさんだが、
クマへの警戒心は、非常に強い。
テント内には、銃が5丁ほどあり
すべてがロードされている(弾がこめられている)状態だ。
「外に出る時は、いつも周囲を警戒すること」
「まずは、周囲をみること、それから動き出して」
「音にも十分注意して行動して」
北海道でも、最近ヒグマに襲われた方の
ニュースがありましたが、
自然の中では、人間は本当に弱いものである
と実感している次第です。
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