2009年10月22日木曜日
Nikolai Stay(2)
アサバスカン・インディアン達とのパーティのあと、 11時に寝た俺は、翌朝の9時まで数回起こされることになった。
自宅だけでは、飽き足らないダニエルが、よその家に飲みに行ったり、家に戻ってきたりと、なんどもバタバタ騒いで家に出入りしたためだ。
完全に酒に飲まれてしまっているダニエル。
ネイティブ・アラスカンが酒を呑むと収拾が付かなくなるという話は聞いていたが、普段は非常におとなしくて口数の少ない紳士的ハンティングガイドである彼が、まさか!そうなってしまうとはとても信じ難い。
朝六時、とうとうダニエルは俺の寝ている部屋のドアをノックしてきた。
どうやら朝まで飲み続けていたらしい。
ダニエル「今日の11時に戻ってくるから、待っててくれブラザー、その後ハンティングにいこう!」
といって彼は家を出て行った。 まだ眠かった俺は、「OKだ」とだけ返事をしてまた寝袋をかぶった。
居間で寝ているヘレンは、きっとほとんど眠れなかったはずだ、ダニエルは居間で友人達と騒いでいたのだから。
そして朝、9時起床。居間にいくとダニエルはいなかった。
ヘレンさんが、起きてきてちょっと濃いめのコーヒーを入れてくれる。
二人で庭に出てコーヒーを飲みながら、ダニエルがうるさかったこと、眠れなかったこと、そして目の前を流れるカスコクイム川の音がクワイエットで良いね、という話をした。
村の朝は、ほとんど音がしない。かすかに聞こえるのは、発電機の運転音だけだが、ネイティブの人たちは朝起きるのが遅いという理由も経験的に知っている。
それにしてもダニエルは、いつ帰ってくるのだろう?そもそもどこにいったのだろう?村の人口は、100人程度でそう大きくはない。何処に行ったってすぐに戻ってくるはずだ。
ヘレンさん「イサオ、ダニエルはしばらく帰ってこないわよ」
俺「どこに行ったのですか?」
ヘレン「飛行機で30分かかる隣の村に定期便で酒を飲みに行ったのよ、朝出かけたのはそれ、だからたぶんしばらくは帰ってこないと思うのよ・・本当にしょうがない人!ガイドのお金が入ったらすぐに、お酒を飲みに行くんだから!」
俺「じゃあ、今日のハンティングもなし?」
ヘレン「そうね、だからあなたもうフェアバンクスへ戻った方が良いわよ、じゃないと何日も無駄に待たされてしまうから」
11時の約束の時間になっても、ダニエルは戻ってこなかった。 その後、数時間待ってみたがやはり彼は帰ってこない。 しかたなく俺は、ダニエルとハンティングという目的を達成しないまま、フェアバンクスへ戻ることになった。
ヘレン「ごめんなさいね、でもこれに懲りずまた来年も来なさいね」
俺「お金がない時なら、ダニエルもまた良いハンティングガイドに戻るかな?」
ヘレン「その通りだわ、来年は8月の上旬に来なさい、待っているわ」
ひとりフェアバンクスに飛行する悲しさは、なんとも言えなかったが、これもまたひとつの面白いストーリーだろう。「ネイティブ・アラスカンと付き合うには根気がいるのよ」と誰かに聞いたことがある。ダニエルが、なぜ約束を守らず酒を飲みに行ってしまったのか、それは分からないが、とにかく一年そこそこで彼らと仲良くはなれないということなんだろう。 気長に、何年もかけて付き合ってゆこうと心に誓ったのであった。 そしてこれは今年アラスカ最後の飛行で、最後のエピソード。
p.s.
フェアバンクスに戻り数日後、ニコライにいるはずのダニエルに電話をしてみた。 彼はお金が無くなり、ニコライに戻ってきていた。いつ戻ったのかと聞いたら、あの日の二日後、と言うことであった。あのまま待っていれば二日間待たされていたことになる。 また、ハンティングキャンプに残されていた両親は、無事にブッシュパイロットが来てニコライに戻ったとのことだった。唯一心配だったご両親のことをこのときに聞いて安心した。 酒はもうやめたと電話でいっていたダニエルだが、また来年もカネが出来れば飲むだろう。 それでもまた来年も辛抱強くニコライに行くつもりだ。 じっくりとじっくりと。 それがアラスカでの人とのつきあい方だから。
自宅だけでは、飽き足らないダニエルが、よその家に飲みに行ったり、家に戻ってきたりと、なんどもバタバタ騒いで家に出入りしたためだ。
完全に酒に飲まれてしまっているダニエル。
ネイティブ・アラスカンが酒を呑むと収拾が付かなくなるという話は聞いていたが、普段は非常におとなしくて口数の少ない紳士的ハンティングガイドである彼が、まさか!そうなってしまうとはとても信じ難い。
朝六時、とうとうダニエルは俺の寝ている部屋のドアをノックしてきた。
どうやら朝まで飲み続けていたらしい。
ダニエル「今日の11時に戻ってくるから、待っててくれブラザー、その後ハンティングにいこう!」
といって彼は家を出て行った。 まだ眠かった俺は、「OKだ」とだけ返事をしてまた寝袋をかぶった。
居間で寝ているヘレンは、きっとほとんど眠れなかったはずだ、ダニエルは居間で友人達と騒いでいたのだから。
そして朝、9時起床。居間にいくとダニエルはいなかった。
ヘレンさんが、起きてきてちょっと濃いめのコーヒーを入れてくれる。
二人で庭に出てコーヒーを飲みながら、ダニエルがうるさかったこと、眠れなかったこと、そして目の前を流れるカスコクイム川の音がクワイエットで良いね、という話をした。
村の朝は、ほとんど音がしない。かすかに聞こえるのは、発電機の運転音だけだが、ネイティブの人たちは朝起きるのが遅いという理由も経験的に知っている。
それにしてもダニエルは、いつ帰ってくるのだろう?そもそもどこにいったのだろう?村の人口は、100人程度でそう大きくはない。何処に行ったってすぐに戻ってくるはずだ。
ヘレンさん「イサオ、ダニエルはしばらく帰ってこないわよ」
俺「どこに行ったのですか?」
ヘレン「飛行機で30分かかる隣の村に定期便で酒を飲みに行ったのよ、朝出かけたのはそれ、だからたぶんしばらくは帰ってこないと思うのよ・・本当にしょうがない人!ガイドのお金が入ったらすぐに、お酒を飲みに行くんだから!」
俺「じゃあ、今日のハンティングもなし?」
ヘレン「そうね、だからあなたもうフェアバンクスへ戻った方が良いわよ、じゃないと何日も無駄に待たされてしまうから」
11時の約束の時間になっても、ダニエルは戻ってこなかった。 その後、数時間待ってみたがやはり彼は帰ってこない。 しかたなく俺は、ダニエルとハンティングという目的を達成しないまま、フェアバンクスへ戻ることになった。
ヘレン「ごめんなさいね、でもこれに懲りずまた来年も来なさいね」
俺「お金がない時なら、ダニエルもまた良いハンティングガイドに戻るかな?」
ヘレン「その通りだわ、来年は8月の上旬に来なさい、待っているわ」
ひとりフェアバンクスに飛行する悲しさは、なんとも言えなかったが、これもまたひとつの面白いストーリーだろう。「ネイティブ・アラスカンと付き合うには根気がいるのよ」と誰かに聞いたことがある。ダニエルが、なぜ約束を守らず酒を飲みに行ってしまったのか、それは分からないが、とにかく一年そこそこで彼らと仲良くはなれないということなんだろう。 気長に、何年もかけて付き合ってゆこうと心に誓ったのであった。 そしてこれは今年アラスカ最後の飛行で、最後のエピソード。
p.s.
フェアバンクスに戻り数日後、ニコライにいるはずのダニエルに電話をしてみた。 彼はお金が無くなり、ニコライに戻ってきていた。いつ戻ったのかと聞いたら、あの日の二日後、と言うことであった。あのまま待っていれば二日間待たされていたことになる。 また、ハンティングキャンプに残されていた両親は、無事にブッシュパイロットが来てニコライに戻ったとのことだった。唯一心配だったご両親のことをこのときに聞いて安心した。 酒はもうやめたと電話でいっていたダニエルだが、また来年もカネが出来れば飲むだろう。 それでもまた来年も辛抱強くニコライに行くつもりだ。 じっくりとじっくりと。 それがアラスカでの人とのつきあい方だから。
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