2009年10月27日火曜日

2009 8.3 Fairbanks→Galena(1)

2009年8月上旬
アラスカの北部中心都市フェアバンクスから西へ
北米大陸最西端のwales(ウエールズ)を目指す。



2009 8.3
Fairbanks→Galena


離陸時の天候、フェアバンクスは視程悪く
コマーシャルの定期便ですら着陸を見合わせる状況。
安全上、飛行は中止にしたいところだが、
この悪視程は、フェアバンクス周辺の山火事が原因であり
長期にわたって回復の兆しはない。
ただし、西へユーコン川を這って進めば、
次第に山火事の煙からは遠ざかることが出来るし、
川の上には障害物がないから自分の姿勢さえ
把握して飛べれば何とかなる。

飛行以外のことにも言えるのだろうが、
何かのミッションであることと、
単なる趣味であることの違いがここにある。

今回は、アラスカの村を回ること、プラス
永久凍土の温度分布を測定している装置の回収という
アカデミックな作業が課せられていた。
これは、アラスカ大学で永久凍土の研究をしている
吉川教授との共同ミッションである。

なにかをやろうとしたとき、
理由を付けて「できません」というのは簡単だ。
飛び出すのに不都合な理由を押しのけられるような「何か・・」
趣味ではなく人生の一部を捧げられるようなミッションを
個人が持ち得るかどうか。


フェアバンクスの西、小さなプライベート飛行場から
スペシャルVFRクリアランスをリクエストして、
ユーコン川へ出る。


ユーコンの南、ネナナ地区の燃え方がひどい。
煙は大地を覆い、風向きによってどの場所でも
視程はゼロになってしまう可能性がある。

ひとまずは、高度2000ftでも飛行可能であったハスキーであったが、
次第に高度300ftまで下がらなくては、
飛行に十分な視程が確保できなくなってくる・・・
旋回すると、確実にバーディゴに入る。
こんな状況は戦闘機時代以来、初めてだ。

戦闘機では、バーディゴというのは普通な感覚だ。
上半身をむき出しのコックピットだからちょっとした雲に入っても
姿勢が分からなくなることが多々ある。
だから実に懐かしい感覚、むしろ嬉しいような気もしたが・・

姿勢指示器で自分の姿勢を確認する、
外の風景では姿勢が確認できない。
このままではいくら障害物のない川の上でもあぶない。

頭の中での選択肢・・・戻るか、上昇するか。
思考の瞬間もハスキーは進み続ける。

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