2010年8月31日火曜日

白神山地・源流行



アラスカから帰ってきて約一ヶ月。
やっと念願の白神へ入渓、遡行してきました。

思えば、最後の白神は2004か2005年。
その後は、アラスカで夏を過ごすことが多く
沢からはしばらく離れていました。

そして今年は、アラスカを飛んで5年目。
飛行機で飛んでいても、やけに広大な、
空から見るアラスカの風景は
まだまだ魅力的であるのだけれども、
いささかマクロ的な視点が多かったのか、

今年は日本のしかも東北の、
繊細で緻密な森と沢を遡行してみたい

という欲求がふっと沸いて出てきたのです。


沢を辿る2泊3日の行程は、なかなかハードで
懸垂下降、高巻きの連続、しかも
1日の行動時間は10時間越えの厳しい遡行でしたが、

壮大なブナ林とそこを流れる水の流れを見ていると
我が国の渓谷美が、世界一美しいということを
確認するにふさわしいものでした。

白神を味わい尽くすなら、まさしく
核心部の沢を遡行することがベストでしょう。
すべての人が出来ることではありませんが、
それだけに自然の深淵を行為で感じることが出来ます。
(注:白神山地核心部への入山は青森県側のみ可能で、しかも申請が必要です)




残念なことに世界遺産というものに登録され、
現在は入山申請をしなければ
白神には入れなくなってしまいました。
更にとても残念なのは、
岩魚を釣ってはいけない、
遡行者が夜に必要な、わずかな暖である
焚き火も禁止なのです。

世界遺産なんて言葉が出てくる前から、
この森は、マタギだったり遡行者という
ごく少数の人間しか立ち入ることのない
静かな聖地であったのに、

なぜ世間の注目をわざわざ集めて、
そして商業施設やツアーを増やしてしまう
世界遺産などに登録するのか、
ちょっと悲しい感じがします。

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