2009年8月25日火曜日

極北カリブー猟








「こういう場所が夢だったんだ」

一緒にカリブー猟にいった友人がそう言った。

場所は、北緯70度付近Brooks 山脈の北、北極海へ流れこむイビシャック川上流部。
ハスキーをなんとかひねりこんで降りた狭い河原に3人で佇む。
ここはカリブーの徒渉風景が、普通に見られる場所。

規定により飛行機を使った猟の場合、翌日からの行動開始となるので
ブッシュプレーンで到着したばかりの我々にできることは、
テントを設営したあとに食事をしながら、我々の目の前にいる
カリブーの群れが徒渉するのをじっくり観察することだけだった。

そのカリブーの数、数時間で100頭以上・・・

川の水の冷たさが、渡る前と渡った後のカリブーの動きでよくわかる。
躊躇しながら、
それでも川に飛び込み、
必死に泳いで対岸でブルブル震えるそのしぐさ。

こうして何時間も彼らの行動を眺めていると、
何のためにカリブーが移動しているのか、わかるような気がしてくる。
凍死してしまいそうな川の冷たさを克服する理由の何かが
南の移動先にはあるのだろう。

もう一人の友人が、冷え込んできた夜に
「大地へ・・・」と言いながら
持ってきたウイスキーをすこし、地面に垂らした。

「カリブーは大地から頂く恵みだ。
我々はカリブーに最大限の敬意を払いつつ、明日からの出猟に臨もう」

ブッシュパイロットとしてハンティングに同行している自分にもすこし、
そのことの意味がわかるような気がした。

8月12日夜、ブルックス山脈の頂はすでに真っ白になっていた。

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